経営・戦略

2023.07.12 09:15

中途採用する企業の大幅増加、その裏で採用難易度はアップ

Getty Images

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アフターコロナの時代、経済の回復基調を受けて人手不足が顕著になっている。そうした中、中途採用の難易度が高まっているようだ。リクルートの研究機関、リクルートワークス研究所は7月5日、従業員規模5人以上の全国にある民間企業7200社を対象にした2022年度 中途採用実態調査(正規社員)の結果を発表した。

2022年度の中途採用実績を尋ねると、1社あたりの採用人数が前年度(2021年度)の1.31人から1.52人へと15.3%増加。従業員規模別では、すべての規模で採用実績が増えた。特に300〜999人の企業で+30.6%、1000〜4999人の企業で+26.1%と、増加率が大きかった。業種別では、卸売業で+48.2%と大きく増えた一方で、小売業で-14%、医療・福祉で-8.1%と、それぞれ減少した。

中でも2022年度経験者の採用人数については、1社あたり0.99人と前年度より0.19人プラスに。未経験者についても0.61人と前年度から0.07人増加した。経験者の中途採用が増加傾向にある一方で、未経験者の割合は40.3%から38.2%へと2.1%ポイント減少した。リクルートワークス研究所 研究員でアナリストの中村星斗氏は、「前年度に引き続き、企業がスキルの高い経験者をより積極的に採用するようになったとみられる」と分析した。中途採用者の未経験者比率が従業員規模別で高かったのは、5〜299人で42.5%。業種別では、小売業の62.7%だった。

続いて、 2022年度下半期の中途採用で必要な人数を確保できたかを尋ねると、「確保できた」と回答した企業は45.8%。一方で、「確保できなかった」と答えた企業は52.7%に上り、前年度から7.3%ポイント増加した。「確保できた」企業と「確保できなかった」企業の割合の差を示す「中途採用確保D.I.」は、全体で-6.9%まで低下。比較可能な2013年度の下半期以降で最低を記録し、中途採用の難易度が上昇していることが分かる。

政府は、社会人の学び直しから転職までを一体的に支援する新制度を、2023年度中に開始する。希望者がキャリアコンサルタントに相談する費用や、専門スキルを身につけられる民間の口座費用を一部負担し、1人あたり平均24万円を助成。政府は、今後3年間で約33万人の転職を後押しするというが、果たしてそれがどこまで労働市場の流動化に繋がり、企業の人手不足や生産性向上につながるのか。今後に注目したい。


参考)
リクルートワークス|中途採用実態調査(2022年度実績、正規社員)
https://www.works-i.com/research/works-report/item/230705_midcareer.pdf


プレスリリース

Forbes JAPAN Web編集部

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