経済

2023.07.08 12:30

「日本は終わったのか?」論争にズバリ答えます

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

5月の日経平均株価が7%の上昇率をマークし、株価の上昇率において、日本が世界首位となったとのニュースが、6月1日の「日本経済新聞」で取り上げられました。これまで温度感の違いこそあれ、多くのメディアや有識者と呼ばれる人たちから「どうして日本はダメなんだ」というネガティブな議論が、盛んになされていました。が、そんな論調にメスを入れたく、「日本は終わったのか?」というテーマで今月は解説してまいりたいと思います。

結論!日本経済は終わっていない!

折しも先週、私が経営するラーニングエッジで「日本は、終わったのか?」というテーマのもと、6日間にわたるセミナーフェスタ2023というイベントを終えたばかりです。目まぐるしく移り変わるビジネスの瞬間を見逃さず、AI × マーケティング × サブスク × M&A の視点から我々は何をすべきかを考えた6日間でした。長らく停滞していた日本経済の未来を知るヒントを得るために参加された6000人以上の出席者(経営者)からは、「腹落ちした」、「未来が明確になった」という反響がとても高かったので、このコラムでお伝えしたいと思います。

まず、結論から申し上げましょう。「日本経済は、終わっていない」です。失われた30年間はビジネスモデル転換の時代だったと理解して、決して悲観することなく、日本が独自に持っている「長所」を伸ばしていけばいいのです。

例えば、最近メディアでもよく見かけるドイツの経済学者ウリケ・シェーデ博士は、なんと「日本はうまくいっている」と言うのです。多くの人は、「もう日本はダメなのではないか?」と言うけれど、冷静に考えれば、いまでも世界第3位の経済大国であり、悲観的なニュースはあるものの、内戦や紛争がなく、秩序ある清潔な国が日本だ、と言っています。

一方で、今や世界の最先端を走っていて、ITの聖地となったシリコンバレー。成功している人や企業にとっては快適でエキサイティングなエリアですが、そうでない一般人には、スピード感や経済感覚など、ついていけない場所であり、理想的な社会のあり方とは言えない、のではないでしょうか。

この「スピード感」が今回のポイントのひとつ。確かに日本は政治の意思決定やビジネスの進化といったスピード感という観点でいうと遅いかもしれません。しかしながら、そのスピードを犠牲にして、弱者を守ってきた優しい土壌がある。結果的に、欧米に比較して格差が少ない社会が実現されている。実は、この日本のスタイルは、人々が暮らしていくうえでモデルケースとも考えられる、と言うのです。

「ジャパンインサイド」というキーワード

「日本はうまくいっている」について、もうひとつのポイントは、「ジャパンインサイド」というキーワードです。

例えば、アップル社の製品は、その内部に日本の精密機器が大量に組み込まれていることが、最近公開されました。これまでは非公開とされていたiPhoneの中身は、村田製作所、日本電産、京セラといった日本企業によって部品の多くが製造されていることが明らかにされたのです。他にも、いま話題のアップルヴィジョンプロは、ソニーの技術が使われている。手に取った時に見える表面はアップル、ですが、内部は日本製品、という構造になっているのです。つまり、精密で品質が高いものは、日本でしか造れないといったことが多いのです。

他にも、テスラ社のバッテリーにパナソニックの技術が使われていることを知らない、という人も世の中に多いのかもしれませんが、その心は、日本特有の「相手に譲る」という奥ゆかしい精神性にあるのかもしれません。
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文=中村麻美

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