アマゾンのティニス・スキパース氏と福与直也氏に、同社のスマートホームデバイスや、AIアシスタントのAlexaと連携するサードパーティのデバイスによるMatterの対応と市場の展望を聞いた。
Matterはスマートホームの普及拡大を後押しするのか
現在、CSAに参画するアマゾンのほか、グーグルやアップルはそれぞれに異なるスマートホームの規格とプラットフォームをつくり、外部のパートナーを招き入れながら独自のエコシステムを拡大している。各々が今後Matterに対応すると、プラットフォームの相互運用性が確保される。例えば同じMatterをサポートするデバイス同士であれば、アマゾンとグーグル、両方のスマートデバイスやモバイルアプリからコントロールできるようになる。Matterのスマートホームにつながるデバイスやサービスを操作するためにはハブとなるデバイスが必要だ。アマゾンの場合、ハブの機能を持つAmazon Echoデバイスの20モデルが2022年からソフトウェアアップデートにより順次Matterに対応してきた。
アマゾンには独自のAIアシスタントであるAlexa(アレクサ)を中心とする、成熟したスマートホームのプラットフォームがすでにある。にもかかわらず同社がCSAに初期の頃から参画して、ライバルといっしょにMatterを推進する理由をスキパース氏は次のように説く。
Amazon Alexaインターナショナル ジャパン カントリーマネージャーのティニス・スキパース氏
「ユーザーが新しいデバイスをスマートホームに導入する際、必要なセットアップが煩雑であったり、プラットフォームの違いによる互換性の問題が成長を妨げているとされている。Matterのような標準接続規格をつくることで問題が解消され、ユーザーが選べるデバイスが増えれば、今後もさらにスマートホーム市場は大きく伸びると考えている」
Matterの成長性に期待するからこそ、アマゾンはCSAに参画しながらその成長を積極的に推し進めているのだとスキパース氏は語る。
福与氏は「現在、アマゾンはMatterに対応する外部のデベロッパ向け開発環境の提供にも力を入れている」と話している。