毎年1万4000トンの日焼け止めが海に流れ込んでいると推測され、パーソナルケア製品に含まれる8万2000種類の化学物質が海を汚染している可能性がある。
過去50年間で、カリブ海のサンゴ礁の約80%は、汚染・沿岸の開発・水の温暖化により失われている。
今回は、日焼け止めとサンゴの関係や、サンゴの重要な役割をまとめていく。
日焼け止めに含まれる有害物質
サンゴへの悪影響が特に懸念されている物質として「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」があり、サンゴ礁が有名な多くのビーチで禁止されている。これらの化学物質が海に溶け出すことで、サンゴ礁の白化を引き起こすと言われているのだ。
また、粒子の大きさも重要で、サンゴが摂取できない「ノンナノ」サイズの粒子を使用しているミネラル系の日焼け止めを使うのがよいとされている。
実際に規制している観光地
パラオでは、2020年1月から、オキシベンゾン、オクチノキサートを含む10種類の化学成分が配合された日焼け止めの販売・使用が禁止された。
2021年1月には、日本人に人気のリゾートであるハワイでも、オキシベンゾンとオクチノキサートが含まれる日焼け止めの販売・流通が禁止された。
カリブ海に浮かぶボネール島でも、ハワイと同様の規制が設けられている。
なぜそこまでしてサンゴを守る必要があるのか。貴重な観光資源であることはもちろんのこと、ほかにもさまざまな役割を持っている。
地球を守るために重要な3つの役割を見ていこう。
01 海の生き物の生息地
サンゴ礁は「海の熱帯雨林」や「海のオアシス」と呼ばれており、浅い海に住む生き物の35%以上が生息している。
地球上の海洋面積の1%にも満たない小さな場所だが、全海水魚の4分の1に相当する4000種が住んでいるのだ。
80以上の国の多くの人々が、食料と収入をサンゴ礁に依存している。