宇宙

2023.07.09

太陽コロナで流れ星発見、表面では常に星が流れる絶景を楽しめる

ソーラー・オービターから見た100万度の高温ガスからなる太陽フレア。赤い線は本研究で分析したコロナレインの軌跡に対応している。欄外の地球はスケールを表している(PATRICK ANTOLIN. BACKGROUND IMAGE: ESA/SOLAR ORBITER EUI/HRI)

流れ星のような火の球が太陽コロナの画像で見つかった。コロナは太陽の外層大気にある不思議なほど高温なガスの層だ。

画像は欧州宇宙機関(ESA)の探査機Solar Orbiter(ソーラー・オービター)が送られてきたものだ。この探査機は2022年春に地球を飛び立ち、太陽に向かう旅の3分の1となる位置で撮影された。太陽から5000万kmの距離で撮影された太陽コロナの画像は、これまでに撮影された中で最も解像度が高い。

磁気の謎

太陽コロナは100万度の高温ガスで構成されている。太陽の表面よりはるかに熱く、太陽物理学者にとって未だに謎である。

Astronomy & Astrophysicsに掲載された研究は、コロナレインと呼ばれる高温のプラズマが冷えて磁場に沿って凝縮する壮観な現象を観察した。

コロナレイン

「コロナ内部は非常に高温のため、探査機が現地で調べることはできないかもしれません」と主著者で英国・ノーザンブリア大学准教授のPatrick Antolinが、英国・カーディフ大学で行われているNational Astronomy Meeting(NAM 2023)で7月3日に述べた。「コロナレインの検出だけでも太陽物理学にとって大きな一歩です。どうやって数百万度という高温になるのかなど、太陽に関する大きな謎を解く重要なヒントをもたらすからです」

コロナの中で急速に温度が下がることによって、直径数百キロメートルの燃えたぎる高密度のプラズマの球が生まれ、数百万度の高温になった後、冷却されながら太陽に向かって落ちていく。

「もし人類が太陽表面で生きていける宇宙人だったなら、流れ星のすばらしい眺めを常に楽しむことができるでしょう」とAntolinはいう。この「流れ星」のほとんどは、壊れることなく太陽表面に到達しているようだ。

貴重なクローズアップ画像

2020年初めに打ち上げられたソーラー・オービターは、コロナの小規模な現象を初めて明らかにする貴重なクローズアップ画像を天文学者に届けてきた。空間分解能はNASAの太陽観測衛星Solar Dynamic Observatory(ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー、SDO)の2倍だ。

探査機は10台からなる科学機器群を備え、6台の紫外線望遠鏡は、初めての太陽近くからの望遠鏡観測を行うとともに、太陽の北極と南極の画像を初めて撮影することができる。

NASAの宇宙探査機Parker Solar Probe(パーカー・ソーラー・プローブ)はソーラー・オービターよりも太陽に接近するが、望遠鏡を持たないため太陽の画像を直接撮影することはできない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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