5月13日にロシア軍機4、5機を撃墜したパトリオットは、配備されて間もなかったようだ。ウクライナ空軍の動画には、撃墜した目標の日付入りの印を写した一コマがあり、それによると5月13日より前に撃墜したのは同月11、12日の弾道ミサイル3発だけだった。
待ち伏せ攻撃がどのように実施されたのか、正確なところは不明だ。パトリオットはまずスホーイ2機を撃墜し、生存者の捜索のために飛来したヘリコプターのうち、2機ないし3機を撃ち落としたのかもしれない。
注目されるのは、通信アプリ「テレグラム」で人気の高いロシアの航空チャンネル「Fighterbomber」が、一連の撃墜はわずか2分の間に行われたと主張していることだ。
事実だとすれば、スホーイ2機が撃墜された時、Mi-8はすでにその近くを飛んでいた(もし先にヘリが攻撃されたのでなければ)ということになる。撃墜機に含まれるMi-8MTPR-1は、ウクライナ側の防空システムを妨害しようとして飛行していたとも考えられる。
いずれにせよ、ロシア軍は多くの軍用機と搭乗員を一気に失った。とりわけ、Mi-8MTPR-1を少なくとも1機失ったのは痛手だった。ロシア空軍はこれを含め、Mi-8MTPR-1を20機しか保有していなかったからだ。ロシア空軍はこのヘリコプターを、6月23〜24の雇い兵組織ワグネルの反乱でさらに1機失っている。
この待ち伏せ攻撃によって、ロシア空軍が戦術の変更を余儀なくされたのかは判断が難しい。ウクライナ南部の前線では、最近も滑空爆弾による攻撃があったという証拠がたくさんある。他方、ウクライナ最高レベルの防空システムが集められている北部では、こうした攻撃がまだ行われているという証拠は少なくなる。
ロシア軍はキーウやチェルニヒウなどウクライナ北部の都市に対しては、爆発物を積んだドローン(無人機)や、国境から数百キロメートル離れた地点から戦略爆撃機が発射する巡航ミサイルによる攻撃を続けている。
もっとも、パトリオットはこうしたドローンや巡航ミサイルの多くも撃墜している。動画に見える印によると、同じパトリオットは6月に十数の巡航ミサイルとドローンのほか、数発の弾道ミサイルも撃ち落としている。
(forbes.com 原文)