これは、大半の公演が秋に再開するまでフルシーズンではなかった2021-2022年シーズンの8億4540万ドル(約1221億2000万円、観客数673万人)を大幅に上回る。なおこのシーズンはパンデミックでブロードウェイが1年半閉鎖された後で、ほとんどの公演が秋に再開し始めたため、これはフルシーズンではないということに注意したい。しかし、パンデミック前の水準にはまだ達していない。パンデミック前の2018-2019年シーズンでは、興行収入は18億3000万ドル(約2643億4000万円)で、総観客数は1480万人だったのだ。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、観光客を引きつけることができる長寿の公演は興行収入が好調だが、新作や小規模の公演は、大きな名前の認知度がないためにより苦戦している。ブロードウェイではホリデーシーズンのラッシュの後、1月は伝統的に閑散期となるため、約12の公演が閉幕した。2つのミュージカル、『ダンシン』と『バッド・シンデレラ』は、春のトニー賞に1つもノミネートされず、その後すみやかに閉幕を発表した。それぞれの平均週間興行収入は52万2220ドル(約7500万円)と50万6695ドル(約7300万円)だった。
ドラマリーグの芸術監督であるガブリエル・ステリアン=シャンクスはガーディアンに対して「観客は戻り始めていますが、まだパンデミック前のレベルには達していません。そのため、非常に成功している公演と、苦戦している公演が並存している状況になっています」と語り、観客はより知的で挑戦的な作品よりも「心地よく、楽しく、表現豊かに感じられるものに集まっています」と続けた。
ミュージカル『ファニー・ガール』のリバイバル版は、『グリー』のリア・ミシェルが主演して以来、その高い興行収入で話題を集めている。彼女が役に就いた2022年9月の初週公演は、プロダクションにとって記録的な高さで、チケットは1枚最高2500ドル(約36万円)で販売された。2023年におけるブロードウェイでの平均週間興行収入は161万ドル(約2億3000万円)だ、なお興行はレイバーデー(米国時間9月第1月曜日)の週末に閉幕する予定だ。
これまでミシェルが休暇中だったり、新型コロナウイルス感染症のために出演できなかった週は特に売上が低かった。ミシェルが出演していなかった3週間を除くと、公演の平均週間興行収入は171万ドル(約2億5000万円)に上昇するが、それでもトップ5に入るにはまだ足りない。
(forbes.com 原文)