画像は2023年6月23日、ジュノーが52回目のフライバイ(接近通過)を行った際、搭載された2メガピクセル・カメラが取得した生データを基に作成された。ジュノーは地球から6億2800万km離れた木星を周回しており、地球から最も遠く離れたソーラー動力探査機だ。
データは約34光分(1光分=約1800万km)の距離を、NASAのディープ・スペース・ネットワーク(DSN)を利用して送られてくる。DSNはカリフォルニア州ゴールドストーン、スペインのマドリード、オーストラリアのキャンベルにある3台の大型電波望遠鏡からなるアレイだ。
届いた生データは市民科学者によってダウンロードされ、組み立てられ、着色などの処理をなされて、本記事で紹介した最終画像になった。
NASAが11億ドル(約1兆6000億円)をかけて開発し、ロッキード・マーティンが製造したジュノーは、NASAのジェット推進研究所が運用している。2016年7月4日、木星軌道への進入に成功。以来、楕円軌道に乗って、木星の雲頂近くを移動している。
現在の延長ミッションでは、木星の4つの大型衛星、ガニメデ、エウロパ、カリスト、イオの観測が主要目標となっている。ジュノーは現在、木星を32日周期で周回している。
これまで2021年にガニメデ、2022年にエウロパへのフライバイを行ってきた。エウロパは、太陽系で地球外生命体を探す宇宙生物学者が注目している。
ジュノーは2023年5月17日に実施したフライバイで、イオをわずか2万2060kmの距離から撮影した。太陽系で最も火山活動が活発な天体であるイオでは、地表を覆っている火山から溶岩が噴出している。
地球よりやや大きいイオの火山活動の源となっているのは、木星や他の衛星から定常的に受ける引力だ。
ジュノーは新たな拡張ミッションでイオを2回フライバイする予定。2023年12月30日と2024年2月3日に、いずれも1500km以内まで近づく。ただし、今月実施される次の木星フライバイでも、イオの遠景画像を撮影する。
欧州宇宙機関(ESA)は2023年4月、木星氷衛星探査計画(JUICE)の探査機を打ち上げた。同探査機は2034年から9カ月間にわたりガニメデを周回する予定だ。
ジュノーはその頃までには、木星の過酷な放射線環境により損傷し、木星への「死のダイブ」を敢行しているはずだ。
(forbes.com 原文)