ウクライナ軍は損傷車両の多くを牽引して修復するだろう。米国は先日、ウクライナ軍の直近の損害を補填するためM2を50両追加供与すると約束したが、ウクライナ人は慣行として車両を使い捨てない。
鹵獲したロシア軍のT62戦車の改造に力を注いだことを考えればわかることだ。ウクライナ軍にはT62が装備する115ミリ砲の弾薬の予備が少ないため、砲を取り外して人員輸送車や戦闘車両、工兵車両に改造している。
ウクライナ軍にとっては、損傷したレオパルト2戦車をできるだけ多く修復することがとにかく急務だ。同盟国から提供を約束されたレオパルト2は今のところ85両のみ。反攻開始から1カ月で、少なくとも2両が廃棄され、さらに5両が主に地雷によって大きな損害を受けた。
ウクライナ軍参謀本部は車両が大損害を被ることを予期し、数カ月におよぶ可能性のある反攻作戦に必要な機能として、大規模な継続的回収作業の準備を整えていた。ウクライナ政府は反攻に向けて最新型の戦車と戦闘車両を調達しただけでなく、多数の装甲回収車両の提供も同盟国に要請していた。
ここ数カ月間に、ドイツとカナダからベルゲパンツァー18両が、米国からはM88装甲回収車8両が、デンマークからはヴィーゼント装甲回収車が、ノルウェーからはNM217装甲回収車が、英国からはチャレンジャー装甲回収車が引き渡され、ウクライナ軍が保有する旧ソ連製IMR装甲回収車を補完している。
ウクライナ軍は今のところ、6月8日に大敗を喫したような罠に再び陥る事態は回避しているが、この先の損失は避けられないだろう。現在の南部の前線から黒海とアゾフ海の沿岸まで到達するには、ほとんどの軸線で少なくとも80キロは前進しなければならない。
1キロ余り進むごとに人員と車両が犠牲になる。だが、車両の多くは破壊されるのではなく、損傷を受けるだけだ。修復されれば戦闘に復帰できる。ただ、それにはまずウクライナの技術者たちが近くの地雷を除去し、動けなくなった車両を回収車両で牽引して戦場から離脱させるという重労働が必要になる。
ウクライナ軍が最近最大の敗北を喫した現場では、すでにこの作業が進められている。
(forbes.com 原文)