「ビッグテック頼み」の様相強まる
S&P500は年初来16%、ダウは4%、ナスダックは33%それぞれ上昇し、13年ぶりの低水準に沈んだ2022年から回復している。S&P500の部門別では、IT(アップルやオラクル)、通信サービス(コムキャストやネットフリックス)、一般消費財(アマゾンやスターバックス)の3つが昨年から一転して伸びのけん引役になっている。バンク・オブ・アメリカのストラテジストは今春、AIブームを1990年代のインターネットによるテックブームになぞらえつつ、AIは「新たな電気」であり「あらゆるものを根底から変えようとしている」とリポートに書いた。
S&P500をはじめとする米株式市場の代表的な指数は上昇しているものの、すべての企業にとって当たり年になっているという状況とはほど遠い。S&P500構成銘柄の上昇率の中央値は5%にとどまっており、一握りの銘柄の急伸が全体の伸びを引っ張っているというのが実態だ。S&P500の場合、2大銘柄であるアップルとマイクロソフトの比重が過去40年で最も高くなっている。
モルガン・スタンレーのチーフストラテジストであるマイケル・ウィルソンは最近のリポートで、大半の企業にとって、AIを原動力とする成長への期待は短期的にはほとんど利益に影響を及ぼさないとし、2023年には「大部分はコストであるAI」が利益率をさらに圧迫するだろうとの見方を示した。
エネルギー、公益事業、医療、金融といったセクターの株価は上半期、2%以上下げており、これらの分野に投資した投資家にとっては厳しい年になっている。
(forbes.com 原文)