映画

2023.07.04 13:30

批評家絶賛、韓国人男女の再会描く映画『Past Lives』に今年最高の評価

映画『Past Lives』の(左上から時計回りに)セリーヌ・ソン監督、主演のグレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ(Getty Images)

今年公開された新作映画のうち、これまでに批評家から最も高評価を得ている作品は、幼馴染の韓国人男女の別れと再会を描いた『Past Lives』だ。ただ、10月に全米公開されるマーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』も、今のところ仏カンヌ映画祭でしか上映されていないのにもかかわらず、批評家からは今年2番目の高評価を得ている。

フォーブスは、批評サイトの「メタクリティック」と「ロッテン・トマト」のスコアを総合し、今年上半期に全米公開された新作映画を順位付けした。ロッテン・トマトのスコアは、高評価を下した批評家の割合をパーセントで示したもの。一方のメタクリティックは、批評家による評価の総合点を100点満点で示したもので、批評した人物やメディアの重要度や質を考慮した加重平均となっている。

1位『Past Lives』

(米国、セリーヌ・ソン監督、全米公開日:6月2日)

セリーヌ・ソン初監督作品で、グレタ・リーとユ・テオが主演。子どものころに深い絆でつながれていた韓国の男女が、家族の国外移住によって離れ離れになった後、大人になり再会する物語を描いたロマンス映画。メタクリティックのスコアは94点、ロッテン・トマトは97%。

米芸能誌ハリウッド・リポーターの映画批評家デービッド・ルーニーは「Past Livesの幾層にも重なる魅力を伝えるのは難しい。ただこの作品を見て、その魔法に心を奪われるよう訴えることしかできない」と絶賛。米紙ワシントン・ポストのアン・ホーナディは「押しとどめられた感情の泉が、ある瞬間に一気に流れ出す様子を見事に描いた」と、ソン監督の手腕をたたえた。

2位『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

(米国、マーティン・スコセッシ監督、全米公開日:10月6日)

レオナルド・ディカプリオ出演。ノンフィクション本を原作に、オクラホマ州の先住民オーセージ族で起きた謎の連続殺人事件の真相に迫る。(メタクリティック91点、ロッテン・トマト97%)

3位『サントメール ある被告』

(フランス、アリス・ディオップ監督、全米公開日:1月13日)

1歳3カ月のわが子を殺した罪に問われたセネガル人女性の裁判を描く法廷ドラマ。(メタクリティック91点、ロッテン・トマト94%)

4位『Ear for Eye』

(英国、デビー・タッカー・グリーン監督、全米公開日:4月14日)

同名の戯曲が原作。米国と英国の黒人たちの生きざまを、異なる世代にわたり描いた。(メタクリティック88点、ロッテン・トマト100%)

5位『Blue Jean』

(英国、ジョージア・オークリー監督、全米公開日:1月9日)

1988年の英国に暮らすレズビアンの体育教師が、マーガレット・サッチャー首相率いる保守党政権の提案した反同性愛法によってもたらされた現実の中で苦闘する様子を描いた。(メタクリティック87点、ロッテン・トマト95%)



興行収入成績で今年上位に入っている作品はいずれも、批評家の評価では上位に入らなかった。Box Office Mojoによると、今年の新作映画の興収トップ5作品は6月23日時点で、上位から『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(5億7300万ドル)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(3億4700万ドル)、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2億9400万ドル)、『リトル・マーメイド』(2億6000万ドル)、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2億1500万ドル)となっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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