「自身の内側の衝動として、ひとりでも多くの人が死ぬ間際に『いい人生だった』と思ってほしい。資本主義や株式会社のシステムから考えると個人が生き生きしていることって、優先度が下がってしまう。それを否定はしませんが、働いているのは人間。『生きている』というその衝動も扱っていくことで、自然に働ける未来につながっていくと思うんです」
現在、RELATIONSでは代表の長谷川以外、役職がない。対外的、営業的に必要な肩書は名刺に書くものの、社内はコンサルティング、ブランディング、組織づくり、採用、といったロールによって分けられ、基本的にはひとりが5つほどのロールをかけもちしているが、定期的に本人のモチベーションをもとに再アサインしているという。
またオンライン、対面、合宿という3つの対話の機会を定期的につくり、社内の共通意識を醸成している。「その時間を本業に使いたい、収益を上げることに貢献したい」と言った声も当然あるが、そういった声も含めて対話に巻き込んでいる。ある合宿では、顧客も招き、対話に加わった。そこで自社の強みを自覚したことで、「利益を最優先に追求したい」といった声のもち主の考えも変容していったという。「自社は、実験場だ」と長谷川は言う。「試行錯誤を重ねた経験を公表することで、少しでもよりよい働き方に貢献できればと思っています」
長谷川博章◎RELATIONS代表取締役。牛角、ガリバー、サンマルクなどのフランチャイズ事業支援をしていたベンチャー・リンクを経て、同社が支援を中止した事業の顧客との関係性を引き継ぐために、2009年、元社員とともにRELATIONSを設立。2023年1月、ホワイト企業大賞企画委員会より特別賞「次世代パーパス経営賞」を受賞。