同ラウンドの引受先は、既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ、DCM Ventures、グローバル・ブレイン、WiL、ジャフコ グループ、Minerva Growth Partnersのほか4社。事業計画の着実な進展が高く評価されたという。
前回のシリーズBでは、著名VCであるDST Globalのパートナー陣やArena Holdingsなどの海外投資家が出資したことが注目されたが、今回のシリーズCでは海外投資家の参画はなし。「資金調達の効率を重視し、国内投資家を優先した結果、予定した金額を十分に集められた」と代表取締役の加藤は話す。
キャディの社員数は23年6月1日時点で590人と、シリーズBの資金調達を実施した21年8月から2.5倍に拡大。主力の部品調達プラットフォーム「CADDi MANUFACTURING」は、産業機器メーカーの国内売り上げトップ20社のうち75%と取引実績を上げているほか、22年6月には新たに図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」の本格提供を開始した。
国内事業の成長軌道が確立されつつあるいま、加藤の視線の先にあるのは、創業以来の念願であるグローバル展開だ。キャディは22年にサプライパートナー網の拡大を目的とした拠点をベトナム、タイに設立。23年1月には、満を持して米国の市場開拓のための拠点をシカゴに開設した。加藤は今年、8割の時間を米国で過ごし、トップセールスに奔走。すでに顧客がつき始めており、現在、100人体制を目指し組織づくりを進めている。
「国内については自分がいなくても組織を回していける体制ができてきました。自分は一番ホットなところに時間を使いたい。いまは米国がホット。実際、すごく順調に、スピーディーに立ち上がっています。感触としてはとてもいい」と加藤。「明らかにお客さんの課題が日本より大きい」。
特に感じているのが、部品調達におけるコスト削減の要望だ。日米で製造業のバイヤーとサプライヤーの関係性に違いがあることを踏まえて加藤は説明する。
「日本はバイヤー側が頂点にある多重下請け構造ですが、米国ではバイヤーとサプライヤーが対等な関係。例えば、材料の値段が上がったとき、日本のサプライヤーは値上げしにくいですが、米国では、コスト上昇分を必ず売値に反映させます。最近はインフレで物価がどんどん上がっているので、バイヤーからすると、いいモノを安く買うことの難易度がすごく高くなっている。そこで、調達コスト削減のために当社を使っていただける。競合のプレーヤーもまだいない」。