同社は、6月29日に香港証券取引所に申請したIPO計画の詳細を明らかにしていないが、地元紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、匿名の情報筋の話として同社が2億ドル(約289億円)の資金調達を計画中だと伝えている。ブルームバーグが2021年11月に報じたところによると、同社は以前、約3億ドルを調達するため、米国でのIPOを内密に申請していた。インシリコは、フォーブスのコメント要請に即座に応じなかった。
同社の評価額は、昨年7月に中国のベンチャーキャピタルの啓明創投(Qiming Venture Partners)やシンガポールのBキャピタルなどから9500万ドルを調達した後に約8億9500万ドルに達していた。このラウンドには他に、米国の投資会社のウォーバーグ・ピンカスやサウジアラムコのベンチャーキャピタル部門、シンガポールのテマセク傘下のパビリオン・キャピタルなどが参加していた。
また、インシリコの既存投資家には中国最大のバイオ医薬品の受託開発・製造サービス会社の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)や、セコイア・キャピタル・チャイナ、ヒルハウス、バイドゥ・ベンチャーズ、イーライリリーから独立した投資会社のリリー・アジア・ベンチャーズなどがいる。
インシリコは、主に希少疾患をターゲットとする新薬発見のスピードアップとコスト削減のために、生成AIテクノロジーを活用していると述べている。同社は現在、希少な肺疾患である特発性肺線維症の治療薬候補に注力している。また、新型コロナウイルスやがんなどを対象とした数十種類の医薬品候補にも取り組んでいる。
提出書類によると、インシリコの2022年の売上高は前年比6倍以上の3010万ドルに跳ね上がった。同社は、製薬会社との研究開発協力や、生成AIプラットフォームの利用料から収益を得ており、提携先の製薬会社には、フォーソン・インターナショナル(復星国際有限公司)の製薬部門や米国のファイザーなどがある。一方、インシリコの昨年の純損失は、前年の1億3050万ドルから2億2100万ドルに拡大した。
(forbes.com 原文)