まずは大人がゆとりを持つこと
「なんで●●なの?」と子どもに尋問系の質問をしてしまった経験は誰にでもあるだろう。その時のことを振り返ってみると、大人側がイラついていた、心に余裕がなかったというケースは少なくないはずだ。しかし良い質問をして子どもを成長させ、幸せにするには、まずは大人が余裕、ゆとりをもつことが大切だと藤代氏は言う。「僕はよく、子どもたちに何でも叶えられるとしたら何を叶えたい?という質問をするんですが、ある子どもが、『サッカーの日本代表選手になりたい』と言ったんです。『いいね、どうして?』とさらに質問をすると、『日本代表選手になれば、お父さんとお母さんが試合を見に来てくれるでしょ?』と答えたんですね。
それは、日本代表選手にならなくても叶えられる夢ですよね。ですから、その夢は代表選手になったら僕はもっと認めてもらえるんじゃないか、お父さんお母さんに褒めてもらえるんじゃないかという気持ちの表れなんですよ。現代の親御さんは忙しくて時間を作りにくいとは思いますが、意識的に子どもと対話する、観察して認めてあげるということも大事じゃないかと思います。
でも、そうなるためには、親御さん自身に時間的なゆとりと心の余裕がなければ、良い質問をすることも、子どもの言うことを受け止めることも難しいと思うんです。だからまず保働者の皆さんは、自分自身を満たすということを大事にしていただいて、その満たしたエネルギーで子どもたちに関わることができれば、いい質問もできるようになるし、間違った方向にいくことはないと思うんです」
藤代氏には子どもの教育や指導に関する著書が複数あるが、子どもを幸せにするには、まずは大人が幸せになることが重要だという考えから、つい最近『私を幸せにする質問』という大人のための書籍を上梓した。
子どもに良い質問をする前に、まずは自分が幸せになるため、自分の人生を充足させるための質問を自分にしてみる。そうすれば、自ずと子どもとの向き合い方、関係性も前向きでポジティブなものになっていくのではないだろうか。
藤代圭一◎一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事/しつもんメンタルトレーニング主宰。「教える」のではなく「問いかける」ことでやる気を引き出し、考える力を育む『しつもんメンタルトレーニング』を考案。日本女子フットサルリーグ日本代表チームをはじめ、全国優勝チームなど様々なジャンルのメンタルコーチをつとめる。毎日発行しているメールマガジンの読者は2万人を超え、2016年より全国各地に協会認定インストラクターを養成。その数は400名を超える。スポーツ指導者、教員、保護者向けのワークショップが好評で、子どもに「やらせる」のではなく「やりたくなる」動機付けを得意としている。