それは「How(どうすれば)」で始まる質問なのだそうだ。
「当たり前のことですが、テストの点数が悪かったことや、サッカーの試合でシュートが入らなかったのは全て過去に起きたことで、それは変えることができません。そんな変えられないことよりも、変えられることにエネルギーを向けた方が健全です。
サッカーの指導をしていても『次はどうすればシュートを決められるかな』と問いかけると、子どもたちは自分からアイデアを出してくれます。ちょっと緊張しすぎていたからリラックスしてシュートを打てばよかったかもとか、もっとシュートのバリエーションを増やした方がいいかもしれないというように、自分で考えるようになります。
そうなれば、大人が言うことはほとんどなくて、じゃあそういう練習をしてみようとかと、その子が自分で言ったアイデアを行動に移せるようにサポートします。その時にまた失敗するか成功するかわかりませんが、その都度、今度はどうすればもっと良くなるかな? と質問していくと自然に成長のスパイラルに入っていきます」
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質問の答えをジャッジしない
大人が質問をすることで、子どもたちが自発的に課題解決の方法を導き出せれば理想的だ。しかし、子どもが必ずしも、正しい解決方法を思いつけるとは限らない。大人が想像していたのとは違う方法を提案された時には、どうしたらいいのだろうか?「質問するときの大前提として僕が大事にしてるのは、質問に対する答えをジャッジしないということです。つまり、良い悪い、正解不正解を決めない。
子どもたちは僕たち大人よりも経験が少ないですから、僕たちが考える『こう答えてほしい』という結論にはたどり着けないかもしれません。でも大人の考える答えがいつも正しいとは限りませんし、子どもは僕たちが思っている正解とは違う正解を持っているかもしれない。ですから、まずは子どもの答えを受け止める。『どうすればいいと思う?』と聞いて、たとえこちらが想像している答えが返ってこなかったとしても『なるほどそうなんだね』と受け止めてあげる。
そうせずに、大人が持っている答えに誘導しようとすると、子どもたちは徐々に答えなくなる。その時に出てくる言葉の代表例が『分からない』です。これは本当に分からないのではなくて、どうせ言っても否定するでしょ、お父さんやお母さんが答えを持ってるんだったら、それに従えばいいやと、自分で考えることをしなくなるんです」
答えを大人が用意してしまうと、失敗した時に子どもたちは、「だってお母さんが言ったから」「お父さんの言う通りにやったのに」と、人のせいにするようになると藤代氏。さらに大人がこれをやりなさい、あれをしなさいと押しつけたことや、無理矢理やらせたことは長続きしづらい傾向にあるという。
習い事ひとつにしても、「この競技が好き」「これをやるのが楽しい」といった内的なモチベーションは、なかなか生まれにくい一方で、一度芽生えると長続きするという特徴があるそうだ。そうした内なるモチベーションを育てるためには、大人が先回りして答えたり、用意した答えに強引に導いて、子どもたちが自分で考えるチャンスを奪ってはいけないのだ。