今年6月、マツダは、ロータリーを搭載した「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」の欧州向け量産を広島工場で開始したと発表した。ロータリーエンジン車の生産は、2012年6月のRX-8生産終了以来、11年ぶりとなる。ちなみに国内で販売するかどうかは未公表。
![搭載されるロータリーエンジンのスケルトンモデル](https://images.forbesjapan.com/media/article/64266/images/editor/69b0d685803b9b68662c074ea1260be64a4939c1.jpg?w=800)
そのバッテリーパックの航続距離は約85kmだが、ほとんどの人が日常的に必要とする走行距離としては十分すぎるほどだ。バッテリーの残量が少なくなってきたら、ロータリーエンジンがガソリンを燃やしてバッテリーパックを充電し、航続距離を伸ばすことができる。もっと簡単に言えば、約85kmはEVで、その後は変わったエンジンを搭載したハイブリッド車、いわゆる「レンジ・エキステンダー(距離を伸ばす役目)」ということになり、ジキル&ハイドのような車両だ。
さて、話題のEVとロータリー付きハイブリッド車を比較しよう。まだ完全なEVに乗り換える覚悟ができていなければ、160psを発揮するロータリーエンジン付きマツダMX-30 REVが最良の選択肢だろう。というのは、2年前に登場したマツダ初の電気自動車「MX-30 EV」は格好良かったけど、160kmという航続距離は欧米では不評だった。
しかし、このロータリー付きMX-30 REVなら、およそ普通のガソリン車と変わらない航続距離500kmを走れるので、「電欠」を心配しないで済むし、すでに投入されている欧州では好評だ。
先週発表された欧州仕様のスペックを見ると、搭載されるロータリーエンジンは、排気量830ccの1ローターを採用する。強力な発電機を備えたことで、駆動用モーターの最高出力はEVモデルの145psから、170psにパワーアップ。0-100km/h加速は、EVモデルの9.7秒から9.1秒に向上しているけど、電動車としては正直なところ、遅いほうだ。
レンジ・エクステンダーに、ピストン・エンジンではなくロータリー・エンジンを使うことには、いくつかの大きなメリットがある。