教育

2023.06.30 08:15

米最高裁「入学選考での人種考慮は違憲」 学生の多様性減る可能性

米首都ワシントンの連邦議会前で向かい合う、アファーマティブ・アクションに反対する人たち(左)と支持する人たち(2023年6月29日撮影、Anna Moneymaker/Getty Images)

学生の多様性に大きな影響か

大学側は、アファーマティブ・アクションをやめれば学生の多様性に大きな影響が出ると警告している。ハーバード大学は裁判所に提出した文書で、入学選考で人種を考慮要素から除けば黒人の入学者の比率は現在の14%から6%に、ヒスパニック系の入学者の比率は14%から9%にそれぞれ減ると予想。また、アファーマティブ・アクションが違憲と判断されれば、人文科学を専攻する学生も14%減るとの見通しも示している。
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ハーバード大学が法廷文書で引用している米大学入学カウンセリング協会(NACAC)の調査結果によると、米国で入学選考にあたって人種を考慮している大学は41.5%にのぼる。志願者の受け入れ率が40%以下の大学では60%に達する。

アリゾナやカリフォルニア、フロリダ、アイダホ、ミシガン、ネブラスカ、オクラホマ、ワシントンなど少なくとも9州はすでに、大学の入学選考で人種を考慮することを認めていない。ミシガン大学は法廷文書で、人種を考慮しない方式にした結果、2006年から2021年の間にアフリカ系の入学者が44%減ったことを明らかにしている。ミシガン州ではこの間、大学に通う年齢のアフリカ系住民の人口は増えていた。

アファーマティブ・アクションは、雇用主に対して「雇用のあらゆる面で平等な機会が確保されるよう積極的な措置を講じる」ことを指示した1965年の大統領令などに由来する。最高裁は1978年、大学が人種ごとに入学枠を設けるのは違憲とする一方、入学選考でのアファーマティブ・アクションは容認。2003年と2016年の判決でも支持していた。今回の訴訟2件は、下級審の判断を不服としたSFFAによる上告を受けて2022年1月に受理していた。
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forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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