WSJは匿名の米国政府関係者の話として、スパイ気球が「特殊な中国製のセンサー」とオンラインで購入可能な「市販の米国製の機器」を組み合わせて使用していたことが調査の結果、判明したと報じた。
複数の機関が主導した調査の初期の報告では、気球に搭載された偵察機器は、写真や動画などのデータを中国に送信することが可能だったとされていた。
しかし今回の調査団は、気球が米国上空を飛行中、中国にデータを送信しなかったと考えている。これが不具合によるものか、米軍の電子的な対抗措置によるものかは不明だという。また、米当局がこの調査結果を公表するつもりなのか、中国当局に知らせるつもりなのかも不明とされている。
今回の調査結果は、気球が米軍の機密拠点からデータを収集し、リアルタイムで中国に送信していたとした4月のNBCニュースの報道と矛盾している。匿名の米政府高官の証言を引用したこの報道は、中国政府は気球の飛行経路を制御可能で「電気的シグナル」から情報を収集することができたと付け加えていた。
気球が撃墜される数日前の2月に発表された声明で、国防総省の当局者は次のように述べていた。「この気球は情報収集の観点からは限定的なものだったと評価している。しかし、我々は外国の諜報機関が機密情報を収集しようとする試みを防ぐための措置をとっている」
今年1月下旬から2月上旬にかけて、直径200フィート(約61メートル)の気球がアラスカと米国本土上空に飛行し、サウスカロライナ州沿岸付近でF22戦闘機に撃墜されたことで、米中間の緊張関係がさらに高まった。米当局は、この気球が米国の重要施設を監視するために設計されたものだと述べたが、中国側は強く反論した。
中国当局は、これらの気球が民間用の気象観測用のもので、単にコースを外れただけだと主張した。その後の報道で、米政府当局者は、これらの気球が当初はグアムやハワイを通過する軌道にあったが、風にあおられてコースを外れたと考えているとされた。
バイデン大統領は今月初め、この事件全体が中国指導部にとって「意図的であったというよりも、恥ずべきものだった」と述べた。
(forbes.com 原文)