欧州

2023.06.29 09:00

プリゴジン、ロシア国防相と参謀総長の拘束狙ったか FSBが事前に察知

ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン。2023年6月24日、ロシア南部ロストフナドヌーで(Stringer/Anadolu Agency via Getty Images)

ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン。2023年6月24日、ロシア南部ロストフナドヌーで(Stringer/Anadolu Agency via Getty Images)

ロシアで先週末に武装反乱を起こし、鎮圧されたロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジンは当初、セルゲイ・ショイグ国防相とワレリー・ゲラシモフ軍参謀総長を捕えることを画策していたが、事前にロシア連邦保安局(FSB)に計画を察知されていたことが分かった。米紙ウォールストリート・ジャーナルが28日西側当局者の話として報じた。ウラジーミル・プーチン政権にとって過去最大級の脅威になった事件の内幕が少しずつ明らかになりつつある。

プリゴジンはかねて、ウクライナ侵攻への対処をめぐって軍最高幹部のショイグとゲラシモフを激しく批判していた。

プリゴジンはふたりの身柄を拘束することを計画していたが、予定の2日前にFSBに気づかれた。そのため当初の計画より早い23日に、ウクライナとの国境に近くロシア軍の補給拠点になっている南部の都市ロストフナドヌーの占拠に踏み切ったという。

ロシア国家親衛隊のビクトル・ゾロトフ隊長は27日、当局は反乱について事前に知っていたとタス通信に述べている。

ウォールストリート・ジャーナルが関係者の話として伝えたところによると、西側の情報機関も通信傍受や衛星画像の分析を通じてワグネルの計画を事前につかんでいた。反乱に先立って、プリゴジンは大量の弾薬や燃料、戦車や装甲車両、高度な移動式の対空防衛装備をかき集めていたという。

一方、米紙ニューヨーク・タイムズは、プリゴジンはほかの有力者の支援を得られるという確信がなければ反乱を起こしていなかっただろうとする米当局者の見方を伝えている。米当局は、ウクライナ侵攻作戦の総司令官を一時務めたセルゲイ・スロビキンがプリゴジンの反乱を支援した可能性を調べているという。

プリゴジンは26日に公開した音声メッセージで、モスクワに向けて部隊を進めたのは、「プロとは言えない行動」によっていくつもの過ちを犯した者らに責任を負わせるためだったと重ねて主張した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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