最近のデータによると、企業部門の健全性は6月に著しく低下した。ドイツ企業の景況感を示すIfo景況感指数は、5月の91.5から6月は88.5へと落ち込んだ。同指数は高いほど経済が好調であることを示し、低いほど経済が低迷していることを示す。
経済低迷は先週発表された製造業購買担当者景気指数(PMI)にも現れていた。PMIは5月の43.2から6月は41へと大幅に落ち込んだ。50を下回る数値は縮小を示す。
英ロンドンを拠点とする経済調査会社キャピタル・エコノミクスの最近の分析によると、これらの経済指標は通常、国内総生産(GDP)成長率と密接に相関する。キャピタルのレポートはこの状況を次のように説明している。
「全体として、6月の調査結果はドイツのGDPが第2四半期に再び落ち込むという当社の予測と合致する。実質所得の伸び悩みや金利の上昇、外需の低迷が引き続き経済活動の重しとなるため、第3四半期と第4四半期にはさらなる縮小が予想される」
言い換えると、2023年はドイツ経済が全四半期で縮小する年になるということだ。 これは問題だ。なぜなら、ドイツ経済は欧州で群を抜いて大きく、アナリストはしばしば欧州連合(EU)の経済のエンジンとして見ているからだ。つまり、現在のドイツの経済成長ではEUはほとんど成長が望めないということだ。
経済情報サイトのトレーディングエコノミクスは、ドイツ経済は来年から若干改善すると予測している。
現在の弱さの一因は、ドイツがその強大な製造基盤を動かすために、これまでロシアからの安価なエネルギーに大きく依存してきたことにある。ロシアが昨年2月24日にウクライナに侵攻したことでその前提は明らかに崩れた。
原子力発電所を廃止するという2011年の決定も状況を悪化させた。もちろん、廃炉の結果、エネルギー価格は大半のアナリストの予想をはるかに上回って上昇した。
昨年のウクライナ侵攻と夏の猛暑を受けて、欧州の天然ガス価格は2021年12月下旬のメガワット時あたり67ユーロ(約1万570円)から昨夏には339ユーロ(約5万3490円)に跳ね上がった。トレーディングエコノミクスのデータによると、その後33ユーロ(約5210円)まで下落している。
一方、他の多くの自由主義の国が中国との関係を断とうとしている中、ドイツは両国間の貿易関係を良好に保つためにできることをしている。
米コンサルのユーラシア・グループの最近の報告書は、この状況を次のように説明している。
「ドイツのショルツ首相は6月20日に行われた待望の中独政府間協議の後も、中国に対して比較的ビジネスフレンドリーな路線を継続することを決めているようだ」
ドイツのアプローチは米政府の一部の人々を失望させるかもしれないが、中国と多くのビジネスを行っているドイツ企業の経営者らが歓迎することは間違いない。
「ドイツ政府は経済的機会を重視する姿勢を大きく変えることはないだろう」とユーラシアの報告書にはある。言い換えると、少なくともしばらくの間はこれまで通りのビジネスが続きそうだ。
(forbes.com 原文)