起業家

2023.07.05 10:00

船上のCO2回収装置で「海の脱炭素化」目指す

アリーシャ・フレドリクソン

2018年夏、当時23歳のアリーシャ・フレドリクソンは、たった0.5℃の地球の気温上昇で異常気象や水不足等の現象が驚くほど多く発生し地球に影響を及ぼすと知り、それに対して何ができるかを考え始めた。

欧州委員会によると、海運業界は世界の温室効果ガス排出量の3%を占め、その量は増加を続けている。フレドリクソンは「海運業界では船の温室効果ガス排出量削減を求める新しい規制があり、世界中の船主が対策を考えていますが、現状はソリューションがありません。だからその方法を生み出そうと思いました」と語る。

共同設立者のルージア・ウェンとともにSeaboundを設立した彼女は、大型船舶に搭載し最大95%のCO2排出を抑制するCO2回収装置を開発している。この装置は、既存の船にも搭載可能で、海運業界におけるCO2排出量削減に向けた費用対効果の高い解決策だ。船の排ガスから取り出したCO2は、港に運ばれ、地下で永遠に貯蔵されたり、燃料などの新しい製品に生まれ変わったりする。そしてそのCO2から得た収益は船主と共有する仕組みだ。

現在、7つの大きな船主とCO2回収装置を船で使用するためのパートナーシップを構築中で、24年から船上で実際にCO2回収を開始する予定だ。「この技術は確実に世界を変えると強く信じています。地球全体でクリーンな海運を実現したい」。

アリーシャ・フレドリクソン◎ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)インド校、米ミネルバ大学卒業。非営利団体や複数のスタートアップ立ち上げに携わった後、2021年Seabound設立。ヨーロッパ版「Forbes30 Under 30 2023」に選出。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=ゲリン・ブラスク

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