自信とナルシスムは良いCEOになるための鍵?
実際、強いナルシスティックな人格を持つ個人は、これらの人格特性を持たない個人よりもCEOに早く昇進することが、研究では示されている。ナルシスティックな人間は自己信頼が高く、極端に自己中心的で、傲慢な思考と行動パターンを持つ。
イーロン・マスクは、ツイッターでの失敗にもかかわらず、ビジネスでは、スペースXのCEOかつ創業者として、またテスラでのリーダーとして、多大な成功と富を享受してきた。これは少なくとも部分的には彼の自信と高い自尊心によるものだ。
企業文化が経営幹部を堕落させる?
ウィーン経済・ビジネス大学の研究者たちは、CEOのこうした「ダーク」な行動傾向は、仕事上の領域に限られていることを明らかにした。シュタール教授は「つまり彼らに人格障害という診断は下されないということです。だとすればCEOのダークな性格特性の発現に、会社がどのような役割を果たしているかという疑問が生じます」
調査結果によれば、コーポレートガバナンスの欠陥や「倫理的基盤」の脆弱さも不祥事の一因となったようだ。シュタール教授は汚職は経営者、企業、法律、規制を含むシステム的な問題であるという。
では、いわゆる「幹部職(C-Suite)サイコパス」の原因は、会社のシステム的な欠陥にあるのだろうか?
これらのCEOの就任前と就任当初の6社の倫理的基盤をより深く調査した結果、こうした「ダーク」な行動傾向の原因となっている可能性のある事柄がいくつかあることが判明した。
・非効率な内部統治
・欠陥のあるインセンティブシステム
・行動規範の欠如
・機能不全の企業文化
・トップマネジメントチーム内の強い同調圧力
このことは、CEOの人格とその企業の倫理的インフラストラクチャとの間に相関関係があることを示している。企業が個人のマッチョでサイコパス的傾向を引き出す可能性がある一方で、逆にそうした資質を持つリーダーが企業の倫理的基盤を弱め、不正行為を行いやすくする可能性も高まる。
シュタール教授は「倫理的基盤の欠如は、CEOが企業の振る舞いにダークな傾向を与えることを助長しかねません」という。
こう考えると「幹部職サイコパス」の原因は企業自身にもあるのだろうか?
(forbes.com 原文)