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2023.07.02 09:00

地震にまつわる陰謀論は「ボット」で広がる 研究結果

研究結果では、軍事活動や神聖な介入に関連した陰謀論がツイッター上の地震についての議論を支配し、HAARP(地球の大気中の電磁波を研究するためのアラスカに設置されたアンテナシステム)やCERN(欧州原子核研究機構)のような機関が情報ソースとして言及されることが多いことが示されている。

このような主張には科学的根拠がないが、心理学者も人間がなぜ陰謀論を信じたがるのかわからないという。一説によると、地震を人間や神の使いの仕業と結びつけることで、予期せぬ災害や不規則な災害を「偉大な計画」の一部だと合理化し、心理的トラウマにうまく対処できるようになるのだという。

多くの場合、陰謀論はまずReddit(レディット)のような議論プラットフォームで発表され、すぐにツイッターで広まる。これらのツイートの拡散を分析するためのアルゴリズムを使用して、論文の著者たちはボットのようなアカウントが、人間が投稿しているアカウントよりも少ないにもかかわらず、より多くのツイートをより速く共有することで、陰謀論が拡散することを助けることを指摘した。AIに制御されたボットはまた、著者たちが「有害」と形容する行動を示し、更なる論争と対話を生み出す傾向を見せた。

研究者のナデジダ・コメンダントヴァは。「私たちは、ボットのようなアカウントが、人間のようなアカウントに比べて少数派であるにもかかわらず、ツイッター上で地震に関する誤情報と陰謀論を広めるのにより積極的だったことを発見しました。さらに、ボットスコアと有害性レベルとの関連が、ボットのようなアカウントが破壊的な行動を促進する可能性のある負の影響を強めています」と述べている。

もう1人の著者エロキンは「情報の拡散動向を理解することで、政策立案者やソーシャルメディアプラットフォームは、問題に対処するための効果的な戦略を開発することができます。科学とエビデンスに基づいた意思決定への公的理解を損なう陰謀論の拡散を防ぐためには、より大きな努力が必要だ」と結論付けている。

研究論文「The role of bots in spreading conspiracies: Case study of discourse about earthquakes on Twitter」(陰謀の拡散におけるボットの役割:ツイッター上での地震に関する言説の事例分析)はInternational Journal of Disaster Risk Reduction (2023)に掲載されている。インタビューに基づく資料は国際応用システム分析研究所から提供された。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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