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2023.06.29

グーグルが認めた生成AI企業「アンソロピック」の意外な出資元

Getty Images

OpenAIと並んで生成AI分野のリーダーとして急浮上した企業に挙げられるのが、Anthropic(アンソロピック)だ。同社のClaude(クロード)と呼ばれる汎用チャットボットはクラウドツールのNotionや質問サイトのQuora、検索エンジンのDuckDuckGoなどにも統合され、人気を博している。

今から1カ月前にAnthropicは、スパークキャピタルやグーグルを含む投資家から4億5000万ドルを調達し、評価額は50億ドル(約7200億円)に近づいたと報じられた。同社は今年2月にも、グーグルから3億ドルを調達していた。

しかし、Anthropicには意外な出資元が存在する。昨年11月に破綻した暗号資産取引所のFTXが約5億ドル相当の同社の株を所有していたことがバランスシートで判明していたのだ。

実際、サム・バンクマン=フリードのAnthropicへの賭けは、FTXの破綻で損失を被った元顧客の資金回収を助けるものになるかもしれない。多くのアナリストは、この株式が潜在的に数億ドルの価値を持つと考えている。

FTXが会社更生手続きの一環で起用した投資銀行のペレラ・ワインバーグ・パートナーズは、この株式を清算しようとしていた。しかし、その計画は中断された。

6月28日のブルームバーグの報道によると、予想外の展開として、FTXはAnthropicの株式売却を一時停止した。これは、FTXの新CEOである破産弁護士のジョン・レイが、同社の前経営陣を資産の不正流用と混同で告発したのを受けてのことだ。バンクマン=フリードとFTXの政治献金やベンチャーキャピタル投資の一部は、顧客の預金を資金源としていた可能性がある。

FTXやペレラ社、Anthropicはコメントを発表していないため、売却がいつまで延期されるかは不明だ。しかし、ベンチャーキャピタルや個人投資家が生成AIに熱い関心を寄せる中、セカンダリーマーケットの投資家はAnthropicの株を入手するためにプレミアムを支払うことを厭わない。

FTXが保有するAnthropicの株式の売却は、かなり以前から検討されていた。ペレラ社は、FTXのAnthropicへの投資に関する包括的なデューデリジェンスのために、潜在的投資家らに秘密保持契約への署名を求めたとされている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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