エコシステム

2023.06.28 08:45

3年で130社のスタートアップ誕生 京都府が「IVS」参戦で狙う次なる飛躍

IVS京都 実行委員会のメンバー。一列目の右から二番目に座るのが中原真里氏

──スタートアップ支援が実を結び始めていますね。IVSには実行委員として参加していますが、どのような狙いがあるのでしょうか?
 
やはり京都府の強みは、京都大学を筆頭に、アカデミアのスタートアップが生まれやすい土台があることです。事業化できるような研究成果もたくさんあります。
 
しかし、ビジネスとして組織を率いていける経営人材が少ない。それがこれまでの課題でした。IVSイベントの場であれば、京都府がさまざまな人材とコネクションをつくることができ、いずれは研究者とのマッチングにも繋がるのではないかと考えたんです。
 
実際にIVSでは、京阪神の大学の先生が登壇する研究室ピッチも開催する予定で、さまざまなビジネスパーソンとの接点をつくることができるチャンスとなります。
 
──その他にも考えていることがありますか?
 
もう1つはグローバル企業を輩出したいという狙いです。京都には京セラや村田製作所など世界的に知られている企業があり、その後を追うような企業が生まれて欲しいという思いがあります。
 
今年5月に105億円の大型調達をした京大発の核融合スタートアップ「京都フュージョニアリング」は、時価総額も500億円を超え、すでにイギリスにも進出しています。こうした有望企業をさらに増やしていきたいと思っています。
 
──海外までも視野に入れ、IVSへ参画しているんですね。
 
そうです。大学発スタートアップは、技術が社会実装されると海外にも需要が広がっていくのですが、その前提として、海外VC・事業会社とのネットワークや組織としてのグローバル化が不可欠です。英語ネイティブな人はもちろん、現地ならではの商習慣や市場に精通している人も必要です。
 
今回のIVSは、海外の方を呼び込むことで、参加者1万人(前回の那覇は1700人)を目指しています。私達の課題感ともマッチしたものだったので、連携しようと決めました。

「仕事もできる街」へと刷新

──ローンチパッド優勝企業には1000万円を提供しますね。賞金を受け取った企業には何か条件が付くのでしょうか?
 
特にありません。評価されたビジネスプランが実現されていくために使ってもらえたらと思っています。
 
私たちとしては、こうした大規模イベントのピッチで優勝する企業が、どのような事業展開をしているのかを勉強したいという思いです。もちろんこれから京都で事業をされることがあれば歓迎しますし、最大限の支援をします。
 
──今後、京都府としてはどのようなスタートアップエコシステムをつくっていきたいと考えていますか?
 
日本のディープテック拠点として京都が認知されることが大事です。それに向けて、京都府に外国人起業家を招き、仕事づくりや仲間づくり、そして生活の拠点づくりを支援するプログラムの実施を検討しています。
 
京都は、観光都市としてのブランド力があるので、足を運んでもらいやすいと思っています。そうした強みを活かしながら、京都では「観光だけでなく、仕事もできる街」というイメージへと刷新を図っていきたいと考えています。

文=露原直人

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