しかし日本では、女性が「生理休暇」を取得する割合は低く、2020年に公開された厚労省の「雇用均等基本調査」によると、有給の生理休暇を設けている事業所の割合は3割弱にとどまっている。
そうした中、就職や転職、キャリアに関する研究・調査を行うJob総研は6月7日〜12日、社会人の男女828人を対象に「生理休暇の実態調査」を実施。結果からは、生理休暇の取得がなかなか進まない理由や、取得促進の糸口が見て取れた。
最初に、生理による体調不良に関する職場理解を聞くと、「あると思う」と答えた人が合計75%に。しかし、生理休暇を利用した経験については、「ある」と回答した女性が12.8%に留まり、9割近くに取得経験が「ない」ことが分かった。
生理休暇を利用する症状のレベルについては、全体では最多が「レベル3:鎮痛剤が効かずに痛みがある場合」で53.7%。次いで「レベル4:鎮痛剤があまり効かず、横になる必要がある」(20.3%)、「レベル2:鎮痛剤を飲むと活動できる」(17.3%)の順となった。
性別では、「レベル3」が男性で59%、女性で46.3%。「レベル4」が男性で12.2%、女性で32.3%という結果に。生理による体調不良が原因で休暇を取るレベルは、男性が思う症状レベルより女性の方が高く、女性の方が生理による体調不良を我慢すべきだと考えている傾向が強いことがうかがえた。
続いて、生理休暇の取得経験がある女性に取得の際の申請先を尋ねると、最多が「男性上司」で76.2%、「女性上司」は35.7%に。申請先が異性だった場合の意識については、「申請しづらい」と回答した人が61.9%に上った。
さらに、女性回答者に「生理休暇」という名称と休暇取得のしづらさとの関連性を聞くと、「ある」と答えた人が77.1%。「生理休暇」という名称以外になる場合、取得への意識変化を質問すると、生理休暇と悟られない名称であれば「利用したい」派が97.2%と大半を占めた。
他にも、生理の重さと出世に関連性はあるかを尋ねると、全体で「関連性がある」と答えた人が56.9%。性別では、「ある」派が女性で62.6%を占め、男性(53.5%)を上回った。
「ある」派の回答をした人にその理由を聞くと、「休む印象がついて任せてもらう仕事が変わる」(62.8%)が最も多く、「仕事のパフォーマンスが下がる」(62%)、「コミュニケーションなど精神的なパフォーマンスが下がる」(33.1%)、「スキルアップのための時間奪われる」(31.6%)が続いた。一方、「なし」派の回答をした人の理由としては、最多が「職場が事情を理解している雰囲気だから」(41.5%)となり、次いで「身近に出世している女性がいるから」(40.3%)、「上司が事情を理解してくれているから」(27.2%)、「生理にそこまで辛い印象がないから」(7.3%)があがった。
自民党の議員連盟は6月8日、生理休暇の普及を含めた「女性の健康」に関する提言を政府に提出。その中で、生理休暇という名称のあり方にも触れている。実際、企業には「生理休暇」の名称を「メディカル休暇」へと変え、女性だけではなく病気のために治療や通院が必要な人たちも使える制度に変更し、他の要因で有給休暇を消化せざるを得なかった人たちも制度の恩恵を受けられるようにしたケースもある。
女性に限らず、誰もが働きやすい、生きやすい職場、そして社会を作るために、今、環境の整備が求められている。
参考)厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/07.pdf
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