かつて海を恐怖に陥れた史上最大の海洋捕食動物であるこのメガロドンが、実はあまり冷血ではなかったとする論文が、このほど発表された。
念のために言うと、メガロドンが殺し屋だったことに変わりはなく、冷血ではなく温血だったというだけだ。なので、最新の研究結果が『MEGザ・モンスター』シリーズの将来の興行に影響することはないので、安心してほしい。
米科学アカデミー紀要(PNAS)で26日発表された論文では、メガロドンの高い体温が絶滅の一因であった可能性が指摘されている。
研究に参加したカリフォルニア大学バークレー校(UCLA)の研究者、ランディー・フロレスは「メガロドンの高い体温を維持するためのエネルギー・レベルに必要となる貪欲な食欲は、海洋生態系のバランスが変化する時代では持続可能ではなかった可能性があります」と説明している。
メガロドンは、ホホジロザメなどの冷血な新参者との競争に敗れたのかもしれない。
米ウィリアム・パターソン大学のマイケル・グリフィスとマーティン・ベッカーの両教授(いずれも環境科学)率いる研究チームは、歯の化石を調べることで、メガロドンがこれまで推測されていたよりも高い体温で泳いでいたことを突き止めた。
「これらの方法を用いた研究は、代謝の起源が不明な脊椎動物化石の体温を、代謝が解明されている同時期の化石と比較することで、その温熱生理を推定する上で特に有効です」とグリフィスは説明した。
結果、メガロドンの体温は、現代の温血動物と類似していた可能性が高いことが分かった。ただし、一般的な哺乳類ほど高温ではなかったとみられる。メガロドンの推定体温は約27度で、ほとんどの哺乳類が死に至る低温だが、ほとんどのサメよりは大幅に高い。
この高い体温が、メガロドンがあそこまで巨大で恐ろしい存在へと成長できた理由かもしれない。温かい体のおかげで、速い速度で動き、冷たい水に耐え、世界の広い範囲に生息することが可能になったと研究チームはみている。
しかし200万年前の鮮新世末期にかけて地球寒冷化が起きると、海洋生態系が変わり、メガロドンは生き残れなかった。
「メガロドンが絶滅したのは、気候と海水準が極端に変化した時代で、餌の分布や種類に影響を与えました。私たちの最新研究は、ホホジロザメのように大きな海の頂点捕食者が気候変動などのストレス要因に対して持つ脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしました」とグリフィスは付け加えた。
というわけで、メガロドンの絶滅は、ホホジロザメの未来にとっても、今のサメブームにとっても良いニュースではないのかもしれない。
(forbes.com 原文)