ウクライナ西部リビウで建設されているのは小学校「リビウ第23学校」の新校舎。完成すれば世界最大の3Dプリンター製平屋建て校舎になる見込みだ。最初のパートはすでに完成し、次のパートの建設に着手している。計画どおりに進めば2024年1月に開校する予定だ。3Dプリンターで教育施設が建設されるのは、ウクライナだけでなく欧州でも初めてだという。
建設はリビウ市議会と協力して、フランスのフューチャリストで起業家のジャンクリストフ・ボニスが立ち上げた慈善団体「Team4UA」と財団「ヒューマニテアリアン・イノベーティブ・テクノロジズ(HIT)」が進めている。ボニスは過去20年、南米や欧州、アジアのスタートアップの育成や資金提供を行ってきたが、ロシアのウクライナ全面侵攻後、助力を求められているように感じ、ほかのビジネス活動から手を引いてTeam4UAを創設したという。
ボニスはデジタル建設の専門家であるフランス系米国人のドミニク・ピヨテと共同でHITも設立した。ピヨテは2019年からウクライナに住み、キーウにあるイノベーティブ拠点「UNIT.City(ユニット・シティー)」の最高経営責任者(CEO)を務めている。今回のプロジェクトでは、ピヨテの先進的なデジタルエコシステムに関する30年を超える経験や知識、そしてリーダーとしてのスキルが成功に貢献しているとのことだ。
ボニスは筆者による独占インタビューで「たんに学校を再建しているだけでなく、(ウクライナという)国や希望も再建しています。これは間違いなく、私個人にとっても転機ですし、人生の大きな一歩です」と語っている。今後、活動を世界全体に広げていくことも計画しているという。