ストレスを感じると体内をアドレナリンが駆け巡り、甘いものを口にしたときと似たような興奮状態になるが、その後は一気に消耗してしまう。世界中の労働者は今、ストレスによる消耗から回復することに、かつてないほど苦労している。
米ストレス研究所(The American Institute of Stress)は、ストレスが米国の産業にもたらす損失を年間3000億ドル(約43兆400億円)以上と見積もっている。驚くべき数字だ。
極度のストレスが引き起こす症状
では、ストレスが限界に達していないかどうかを調べるために、セルフチェックをしてみよう。以下のリストを読み、自分に当てはまる症状を数えてほしい。認知的な症状
・記憶力が落ちている・集中できない
・判断力が低下している
・否定的なことばかり考える
・不安を感じたり、いろいろなことを考えたりしてしまう
・常に気を揉んでいる
情緒的な症状(うつや、全般的な幸福感の低下)
・不安で落ち着かない・不機嫌で、すぐイライラし、怒りっぽい
・精神的に圧倒されている
・孤独感や疎外感がある
・メンタルや情緒に関連する他の問題がある
身体的な症状
1. 寝つきが悪い、眠れない2. 体がこわばる
3. 消化不良を起こしている
4. 動悸や胸やけがする
5. 運動意欲が低下した
6. 食欲不振、過食
7. 大小問わず、けがが増えた
8. 依存症や、依存的な行動
当てはまるものが5つ以上の人は、ストレスがたまりすぎているので、このまま読み進めてほしい。まずは、ストレスの原因を説明してから、解消方法を紹介する。
職場でのストレス
世界保健機関(WHO)は2019年、医療機関や研究機関向けのガイドライン「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第11版(ICD-11)」に、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」を追加した。燃え尽き症候群は「適切に管理されていない、慢性的な職場ストレスに起因するもの」と定義されている。単なるストレスではなく、絶望感、無力感、無気力、うつ、絶え間ない不安を引き起こすことがある。