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音楽、メディア、エンターテインメントビジネスを担当。

Photo by Dimitrios Kambouris/LP5/Getty Images for TAS



挑戦者の気持ちを代弁するアーティストとして支持を広げてきたのがテイラー・スウィフトだ。2008年のアルバムに収録された楽曲「You Belong With Me」のような歌を聴けば、彼女がただ流行りの若手アーティストとは一味違うことがわかる。この楽曲でテイラー・スウィフトは冴えない女の子の想いを詞に込め、ミュージックビデオでは文字通り隣に住む飾り気のない娘を演じている。

そんな彼女の挑戦者としてのポジションは、アップルとの一件で一層強固なものになったと言える。Appleは待望の音楽ストリーミングサービスApple Musicに3カ月の無料トライアル期間を設け、その間はアーティストに楽曲使用料を支払わない方針を示していたが、彼女はたった一人の力で、その方針を転換させたのだ。

テイラー・スウィフトはTumblrに“To Apple, Love Taylor”というタイトルで投稿し、「私たちアーティストはタダでiPhoneが欲しいとは言いません。私たちにもタダで音楽を提供してほしいとは言わないでください」という書き込みをした。
その数時間後、Appleは方針を転換した。Apple副社長のEddy Cueからの一連のツイートには、その理由がテイラー・スウィフトのツイートであることが明記されていた。

「Appleはアーティストが必ず報酬を受け取るように配慮します…#Apple Musicはストリーミングサービスに楽曲を提供するアーティストへ、無料トライアル期間も含めお支払いします…@taylorswift13とインディーズの皆さん、皆さんの意見はしっかり受け止めます。Love, Apple」

テイラー・スウィフトはこの1年数々の言動で音楽業界の真のオピニオンリーダーと目されるようになってきた。昨年7月、彼女はWall Street Journalに一筆寄せ、音楽の価値について自身の意見を明確に述べた。

「音楽はアートであり、アートは重要かつ貴重なものです。重要で貴重なものは、価値があります。価値があるものには代価を払わなければなりません。音楽は無料であってはいけないというのが私の意見です」と彼女は書いた。
そして11月、彼女はそれを実際に行動で示した。Spotifyの音楽のストリーミングサービスから彼女のニューアルバム1989を引き上げたのだ。現在もなおSpotifyでは彼女の楽曲は配信されていない。

今回のAppleのニュースが注目に値する最大の理由は、巨大IT企業が前代未聞の速さで方針転換をしたことに加え、テイラー・スウィフト個人がその方針転換の理由だと公に認めたことだ。

その事実によりテイラー・スウィフトは25歳の若さで、業界で最も影響力のある人物というステータスを確かなものにした。彼女はForbesが5月に発表した「世界で最も影響力のある女性」リストにドイツのメルケル首相らと並んでランクインし、その影響力が注目されている)。彼女はアップルに対するツイートで、次のようにも述べていた。

「敬意をこめてAppleに申し上げます。今ならまだこの方針を転換することも、アーティストの気持ちを変えることも可能です。この方針にアーティストは大きく左右されることになります」

現に方針は転換され、テイラー・スウィフトはAppleと良好な関係を保つようになった。テイラー・スウィフトのさらなる挑戦に期待したい。

文=ザック・オマリー・グリーンバーグ(Forbes)/ 編集=上田裕資

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