高級ブランドを擁するLVMHがエピックゲームズと提携する狙い

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LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、ファッション、ラグジュアリーのほか「Le Parisien」や「Les Echos」などのメディアその他のビジネスにおいて、世界に名だたる高級ブランドを傘下に持つコングロマリットだ。

文末で紹介した錚々たる名前のリストが示すように、ファッションやワイン、腕時計など一流ブランドを数多く擁することが、LVMHを小売業者として別格の存在にしている。リストに掲載されていないシャネルさえ、受動的パートナーシップを通じて、LVMHが34.4%を保有している

CEOとしてこのフランス企業を率いるのは、ベルナール・アルノーだ。米国のティファニーから、フランスのクリスチャン・ディオール、スペインのロエベまで、世界を代表する名門ブランドを買収し、LVMHをまさしく国際的企業に育ててきた。

そして6月中旬、LVMHは、2024年のパリ五輪のスポンサー企業になる可能性があると報道された。さらにLVMHは6月14日、『フォートナイト』などで知られる米国のゲーム会社Epic Games(エピックゲームズ)と戦略的パートナーシップを結んだことを発表した。両社は、この世界的なスポーツ大会を祝うイベントをパリで開催するという。

こうした動きは、傘下に擁するラグジュアリーブランドをイマーシブな(没入型の)デジタル体験と直接結びつけようとするLVMHによる取り組みの一環だ。そして、ラグジュアリープレイヤーが現在、どのようなパートナーシップを求めているかを示す動きでもある。

LVMHは、6月14日に発表したエピックゲームズとの戦略的パートナーシップを通じて、ポートフォリオ全体に新たな顧客体験を生み出す計画だ。同社のデザインパイプラインに新たなツールを追加し、すべてのブランドに3D技術が導入される。

これらのツールには、エピックゲームズが開発したゲームエンジン「Unreal Engine」が含まれる予定だ。Unreal Engineは、先ごろプーマがローンチしたメタバース「Black Station 2」にも使用されている。

Unreal Engineは、高精細でリアルなゲーム体験の創出に役立つだけでなく、コレクションや広告キャンペーンの新たな見せ方を支援する。ファッション業界は、商品のよさを提示しやすい新たなデジタル環境において、ビジュアルが重要なブランドの見せ方を模索しており、そうしたなかでUnreal Engineに注目している。
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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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