恒星は燃料である水素とヘリウムを放出しつつ、酸素、炭素などのより重い元素を溶かし始める。その結果、恒星は密度を増し、ガスの層の中に鉄のコアを形成する。
やがてコアが崩壊し、超新星となって瞬間的に恒星1000億個分のエネルギーを持つ。爆発は、恒星の外層をX線とガンマ線の高エネルギー放射線とともに宇宙に放出する。
もし太陽系、そして地球が、その放射線の通り道にいたら何が起こっただろうか?
超新星の衝撃波
Astrophysical Journal Lettersで先に公開された研究は、46億年前に太陽と太陽系がまだ形成されつつあるときに、その近くで超新星爆発があったことを示唆する同位体比を隕石中で発見した。ではなぜ、生まれたばかりの太陽系はその超新星の衝撃波によって破壊されなかったのか?
もし、太陽の近くでたった今超新星爆発が起きれば、地球のオゾン層は破壊され、太陽の紫外線から地球を守る保護が失われ、すべての生命は消滅する。
天文学者は、超新星を囲む「キルゾーン(殺傷能力圏)」は約50光年と考えており、超新星になるまでが最も近い(今後1000億年以内)と考えられている恒星ベテルギウスは550光年先にある。
フィラメントが太陽系を救った
私たちは安全だが、太陽系が誕生する最初の10万年間には、その「キルゾーン」内で爆発した超新星があったかもしれない。太陽系を救ったのは、フィラメント状分子雲だった。それはすべての惑星がそこで形成された、太陽系の「birth cocoon(赤ちゃんのおくるみ)」ともいえる場所だ。あらゆる恒星は、分子雲の中のガスとちりからなる密集したフィラメントの中で形成される。
これは、分子雲が緩衝材の役目を果たし、若い太陽系を超新星衝撃波から守ったことを示唆している。その証拠は、太陽系が誕生した瞬間の情報が依存されている隕石の中にあった。
あるアルミニウム放射性同位元素の濃度が、太陽系が形成し始めた直後に、フィラメントを通じて放射性アルミニウムが注入されたことを示していることを研究チームは発見した。
太陽系の近くで起きた超新星爆発が、この注入の最有力候補であると日本の国立天文台のアルズマニアン・ドリス(Doris Arzoumanian)率いる研究チームは述べている。
(forbes.com 原文)