音楽出版社はこのほど、ツイッターのユーザーが適切なライセンスなしに音楽をストリーミングできていたとして、2億5000万ドル(約360億円)の賠償を求めてツイッターを訴えた。出版社側は2021年後半以来、音楽などの著作物を保護する米国のデジタルミレニアム著作権法にツイッターが違反しているという通知を30万件以上送ってきたと主張している。
「自由でオープン」というツイッターの性質も問題の一因かもしれない。フェイスブックで著作権付きの曲(通常、10〜15秒以上のもの)を投稿すると、すぐに通知が表示され、フェイスブックはその曲をミュートするか削除する。
フェイスブックが採用している音楽ライセンスと著作権に関する方針がどんなものであれ、ツイッターよりも明らかに進んでいる。私はそうした措置が煩わしいと感じると同時に、フェイスブックが目を光らせる理由も理解できる。
だがツイッターにはさらに大きな問題が迫っている。
報道によると、ツイッターはクラウドホスティング料金をめぐってグーグルやアマゾンと衝突しているようだが、これは裏目に出て法廷闘争に発展するのは確実だ。もう家賃を払わないと決めたり、ネットフリックスの契約を予定より少し早く解除したいと考えたりする人のように、これらの衝突はツイッターの財務状況を示しているようだ。同社の現在の価値はマスクが買収したときよりかなり下がっている。
私たちの多くが昨年学んだように、マスクは大げさに意思表示したり、不要とみなしたサービスを削除したりすることをためらわない。
その姿は、権力がもたらし得る潜在的な損害を熟慮することなく支配し、過激な変更を加える王や大統領を思い起こさせる。しかし普通の人なら、クラウドホスティングは重要で、グーグルやアマゾンとの関係は現在より重視されるべきと考えるだろう。
訴訟は財政が健全な大企業にも影響を与える可能性がある。米複合企業3Mはこのほど、汚染水に含まれる「永遠の化学物質」をめぐる125億ドル(約1兆7940億円)の巨額訴訟で和解した。米銀Wells Fargoやデルタ航空も職場における多様性をめぐり訴訟を起こされている。
これは、マスクが長年見せてきた「衝動的に行動する」スタイルの代償かもしれない。それ以上に、規制のない言いたい放題のオープンなソーシャルメディアプラットフォームを作ろうとしたことの弊害でもある。
現実世界においてそのようなオープンなネットワークは、テイラー・スウィフトや音楽ストリーミングに関すること以上に頻繁に訴訟を抱えることになるだろう。つまり、不当な扱いや誤った情報をめぐる訴訟、うその約束や故意の加害に関する訴訟、そして大企業との契約違反などだ。
結局のところ、企業に法務部があるのは、かなり妥当な理由がない限り契約を破棄せず、データ漏洩などの問題から社を守るためだ。
マスクが社を立て直し、ツイッターを再びスマホで使用する価値があるものにする方法を見つけ出す前に訴えられないことを祈る。マスクは事業を継続させるために追加の収入が必要となるかもしれない。
(forbes.com 原文)