政治

2023.06.26 09:30

ロシアのワグネルの反乱はプーチン政権の「真の亀裂」 ブリンケン米国務長官

アントニー・ブリンケン米国務長官(Getty Images)

アントニー・ブリンケン米国務長官(Getty Images)

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は25日、ロシアの新興財閥オリガルヒであるエブゲニー・プリゴジン率いる民間軍事会社ワグネル・グループがこの数日間に起こした短期間の反乱は、ロシア国内の「真の亀裂を示しており」、同国のウラジーミル・プーチン大統領に対する脅威だと警告した。
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米CBSテレビの番組「フェース・ザ・ネーション」の日曜インタビューに出演したブリンケン国務長官は、今回の出来事は「展開中の物語」であり「まだ最終幕ではない」とし、プーチン大統領に対する脅威はこれで終わりというわけではないだろうとの見方を示した。

同長官は、反乱は短期間で収束したとはいえ、プーチン大統領は「自身が作った傭兵からロシアの首都モスクワを守らなければならなかった」と指摘し、今回の出来事は「プーチンの権威に対する直接的な挑戦」だったと述べた。

プーチン政権崩壊の可能性に備えて米国は準備しているかと問われたブリンケン長官は、政府はあらゆる事態に備えているが、紛争は「ロシアが解決すべき内政問題」だと答えた。
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ロシアの指導者がウクライナ侵攻の根拠について国民にうそをついたとプリゴジンが語っている動画について、ブリンケン長官は「プリゴジン自身は今回の事件全体を通じて、ロシアがウクライナに侵攻したそもそもの前提に深い疑問を投げ掛けている」とした。

同長官は、プリゴジン率いるワグネルがこれからどこへ行くのか、ワグネルとして復帰して戦うのか、あるいはロシア正規軍に統合されるのかは不明だとしている。プリゴジンとプーチンとの間の合意の最終的な条件について、米政府はまだ把握していないが、ブリンケン長官は数日から数週間のうちに、詳細について徐々に明らかになるだろうと推測している。

同長官は米ABC放送の「ディス・ウイーク」に出演した際、反乱はプーチン大統領が20年以上前に初めて政権を握って以来、同大統領にとって最も深刻な脅威の1つだったとし、ロシアの不安定さは懸念材料だと語っていた。

米紙ワシントン・ポストは、プリゴジンが反乱を計画していたことを米情報機関は今月中旬以降に察知していたと報じた。情報機関はホワイトハウスをはじめとする政府機関にこの情報を事前に伝えていた。米政府関係筋が匿名で同紙に語ったところによると、政府関係者は反乱が始まる直前まで具体的な行動については把握していなかったが「何かが起きていると【略】指導部に伝えられるだけの兆候はあった」という。

2万5000人以上から成るワグネル・グループを率いるプリゴジンは23日、ロシア軍がワグネルのキャンプを攻撃したと非難し、武装反乱を開始した。ウクライナ侵攻でロシア軍とともに戦っていたワグネルは、ウクライナとの国境に近いことからロシア軍が後方支援拠点としていた南部ボロネジとロストフナドヌーの軍事施設の支配権を主張。その後、ワグネルの軍隊はモスクワに向かって進軍したが、首都に到着する前に、プーチン大統領はプリゴジンと反乱を阻止するための協定を結んだ。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官によれば、プリゴジンはベラルーシに移動し、今回の武装蜂起に関与した者は罪に問われないという。ワグネルは25日、ボロネジとロストフナドヌーから撤退を開始した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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