マネー

2023.06.26 17:00

なぜ経営者は「オカネ」について自問が必要なのか

事業再構築補助金についても同様でした。事業再構築補助金とは、業種転換など一定の要件を満たした事業者に対し、新分野へ進出するために投資した金額の3分の2(ほかにも補助率あり)を最大で8000万円(ほかにも限度額あり)補助する、という前代未聞の大規模支援策です。

例えば、新規出店のために6000万円かかったとします。すると、3分の2である4000万円が補助で戻ってきて、実質2000万円でお店をオープンすることができる、というものです。この補助額を見て、やらないほうが損だ!と思ってしまった人が多かったようです。情熱よりも損得勘定で始めた事業は長続きしないと、経営者なら誰でもがわかっていることですが、あまりに巨額な補助金なので、冷静な判断ができなかった人が数多くいました。

やはり何かがおかしい。世の中の大半の人は気づいていない(もしくは、見ないフリをしている)が、平常時以外にオカネと向き合うと、平常時とは異なる判断をするようだ。

実際に利益が出たり、融資で手持ち資金が増えたり、補助金が入ったりしたとき、平常心ではいられなくなります。

もちろん逆の事例もあります。起業しようと決意したのに、いざ事業計画を書いて数字と向き合うと、急に起業の意欲が半減されるというものです。

そんななかで出合ったのが、ピーター・カーニック氏と、彼が考案したマネーワークです。マネーワークは、オカネが人間の心に信じられないほど大きな影響を与えていることを認識させてくれます。

実際にマネーワークによって、自分が無意識にオカネの影響を受けていたことを認識した後、オカネをため込む傾向にあった人がより自由に、表現したいことのために前向きに投資できるようになったり、逆にオカネが苦手な人が借金に抵抗感が減り、理念に同意する同業他社を吸収合併することができるようになったりしました。

オカネの影響力が等身大になるとやりたいことを純粋に表現できるようになるのです。なので、オカネの認識を変えたうえで、自問していただきたいと思っています。

あなたは自分の人生で何がしたいですか?


青野英明◎青野税理士事務所代表。1978年、茨城県生まれ。トム・ニクソン著『すべては1人から始まる—ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』共訳者。ピーター・カーニックに師事し、マネーワークを日本で広める。

文=青野英明 イラストレーション=トミー・パーカー

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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