経営・戦略

2023.06.24 15:00

脱「売り子」を成功させた「提案力」育成の行動変容作戦

Forbes JAPAN編集部
改革当初はデジタルアレルギーともいえるネガティブな反応に苦戦。導入した複数のSFAの運用を中断した苦い経験もあった。コロナ禍での出社制限が追い風となって、新たな体制は次第に定着していく。

いまでは社内SNSなどを通じて、顧客への効果的なプレゼン資料や全国の売り場の実例などが、各地からリアルタイムで共有されるようになった。渡辺は、年間約二千件にものぼるそれらの投稿へ目を通し、日中の業務の合間をぬって、社内の誰よりも多くコメントを送る。

社内外の講師を招き各種スキルの学習講座も開講している。セールストークやコピーライティングといった実践的なスキルから、論理的・批判的思考力などアカデミックなものまで内容は多岐にわたり、同社の強みである創造性にさらなる磨きがかかった。セールスのデータ分析に基づくユニークな提案は、顧客からも先進的だと評判が高い。渡辺はこう続ける。

「改革はまだまだ道半ばですが、うちはセールスもクリエイティブな仕事であることを知ってもらいたい。今回のようなタイトル獲得を機に、セールス一人ひとりの自信が深まり、さらなる高みを目指す組織にしていきたいと思っています」。


わたなべ・ひでき◎日清食品ビジネスソリューション 本部副本部長。

文=眞板響子 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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