関節部分にモーターを使わずに、空気圧を調整することにより動作をサポートする機構により大幅な軽量化が図れるという同社が開発を進めるプロトタイプを体験した。
ひざ関節の動きをサポートするウェアラブルロボット
Roam Roboticsは、6月21日にスクラムスタジオが都内に国内外のスタートアップを集めて開催したイベント「Startup Showcase 2023」に開発中のウェアラブルロボットを出展した。同日来日したRoam RoboticsのTactical Team LeadであるLinus Park氏にデバイスのコンセプトと特徴を聞くことができた。Roam RoboticsのLinus Park氏
Roam Roboticsは今から約7年前にウェアラブルロボットのコンセプトを起ち上げ、約5年前から試作を開始している。この日のイベントには、現在開発を進めているひざ関節用のウェアラブルロボットを出展した。
プロトタイプモデルは背中に身に着けるバックパックと、両脚の関節に固定して動きをサポートするウェアラブルデバイスに筐体を分けたモジュラー形式を採用する。
脚部に装着するデバイスは、ひざの関節を覆うメインのパーツに軽く耐久性能の高いプラスチックを採用する。デバイス全体を軽量化できたもう1つの大きな理由は、ジョイント部の動力としてモーターを使わず、チューブに空気を出し入れしながら伸縮させる空気圧調整方式としているからだ。
軽く、簡単に着脱できる
ユーザーが背中に身に着けるバックパックの中には、両脚のウェアラブルデバイスに内蔵するモーションセンサーからの信号を受け取り、解析・制御するコンピュータとその電源およびエアパックが搭載されている。バックパックの重さはさほど気にならない程度だ。それよりも両脚のウェアラブルデバイスが身に着けたまま小走りしたり、飛び跳ねることも苦にならないほど軽いことに驚く。デバイスはひざと足首、そけい部の3カ所にマジックテープで固定する。マジックテープを外せばすばやく脱げるので、必要になった時に気兼ねなく使えそうだ。
センサーを制御するためのコンピュータとバッテリー、エアパックを内蔵するバックパック
Roam Roboticsが開発した独自の機械学習によるアルゴリズムは、センサーが検知するひざ関節の動作をいくつかのパターンに分類して、ユーザーの身体の動きを先読みしながら動作を支援する。例えばユーザーが着席したり、起立する動作の間、チューブの空気圧調整がもたつくいてストレスを感じることがなかった。Park氏によると「ひざを怪我している方など、身体の状態に合わせて動作のスピードを微調整することも可能」だという。
軽いだけでなく、空気圧調整による安定した動作支援を実現