「台湾は昔から貿易の要所です。過去20年間、中国大陸を主な市場としてきましたが、最近の対中関係や新型コロナウイルスの影響で、台湾の企業は今後の展開方向を模索しています。中国以外の選択肢を考えた際、日本は有力な候補の1つとなっています。日本の技術力や製品開発力への評価はもちろん、英国やインドがテック関係で日本に投資している事実があることも後押しになっているようです」と皆川氏は語る。
台湾交流協会の皆川幸夫氏
また、中国と米国との間には密接な貿易関係が存在し、中国で製造すれば米国への展開も可能なため、中国市場は魅力的だが、何か問題が発生した際のリスクも大きい。そのため、多くの台湾企業はリスクヘッジの観点からも日本を選択したいと考えているのではないかと皆川氏はいう。
日台はお互いに第3位と第4位の貿易相手国で、公的機関、非政府組織それぞれで密接な交流がある。日本国内では近年、スタートアップサミットも開催されるようになった。
一例として台湾の国家発展委員会(National Development Council、NDC)が後援するStartup Island TAIWANは2022年に史上最大級の日台スタートアップイベント「日本・台湾スタートアップサミット2022」を開催。日本の参加企業も500人が参加し、大きな話題を呼んだ。
台湾は元々国内市場が小さい。グローバルに打って出なければならないのは宿命のようなものだが、台湾のスタートアップ側は、こうした日本側の動きについてどのように感じているのだろうか。Innovexで台湾のスタートアップパビリオンを取り仕切る、台中企業Infotrade midiaのKelvin Chu氏に話を伺った。
「台湾のスタートアップにとって、日本の市場は魅力的です。製品やサービスによりますが、双方にメリットのある関係を築けるでしょう。中には、日本での事務所設立を目指したいというスタートアップもあります。多くのスタートアップは予算も資本金も限られていますので、沖縄県や玉名市のような誘致のシステムも魅力的にうつるでしょう」
過去から続く日台の友好関係。日本と台湾はビジネス展開を通じて、お互いの強みを活かし合い、相互成長を目指せる状況にあるようだ。両国のスタートアップエコシステムが活性化し、新たなビジネスモデルが生まれ、それぞれの国での新たな価値が創造されることに期待したい。