台湾からは最も近い「外国」、沖縄県のメリット
沖縄県は、県の企業立地推進課が主体となり県内でビジネスを展開する企業とタッグを組んで出展した。出展の目的は、やはり沖縄県への企業誘致。さらに2023年11月に開催される沖縄独自のIT・DX展示商談会「リゾテックエキスポ」に台湾企業の出展を促したい意向があった。「観光産業がメインの沖縄に新たな産業を生み出すべく、税の特例措置、補助金などの支援を用意し、スタートアップ誘致を進めています。台湾は沖縄県から最も近い『外国』で古くから交流が盛んです。沖縄のビジネス環境を知っていただき、最終的には台湾企業の沖縄支店設立を目指してもらえるよう活動をサポートしています」と沖縄県商工労働部企業立地推進課企業誘致班、前里理江氏は語る。
また、沖縄県のブースに立っていたおきなわスタートアップ・エコシステム・コンソーシアムの佐々木盛海氏は次のように語った。
「沖縄の上場企業はわずかしかなく、ロールモデルとなる企業が少ない。沖縄は外部からのアイデア、人々を歓迎する文化がありコミュニティが密接です。だからこそロールモデルの存在は特に重要だと思います。我々は、台湾をスタートアップの先輩だと思っています。数が多く、成功事例も多い台湾のスタートアップが沖縄に集まれば、現地の若者、子どもたちへの刺激になる。それを期待しています」
金融機関の出資による地域商社で県外や海外の企業を沖縄に誘致する役割を担うみらいおきなわもブースに参加していた。
「沖縄の企業誘致には、ITと製造の2つの方向性があります。ITは観光産業が盛んな沖縄がそのノウハウを活用し、地元企業とのマッチングを促進したい考え、製造業では台湾の金属加工やコスメ、医療系などに焦点を当てています」と同社代表の内圈府地域活性化伝道師を務める木村政昌氏はいう。
みらいおきなわ代表で内閣府地域活性化伝道師の木村政昌氏
台湾は国際的に国として扱われないため、FTA(自由貿易協定)による優遇関税を受けられない。例えば、台湾からASEANへの化粧品輸出では、関税が30%かかるが、同カテゴリーの市場においてライバルである韓国や中国からの輸出では関税は0%と、スタート地点から不利だ。
「その解決策として、原料を沖縄に運んで製造しMADE IN JAPANを取得をすることを提案しています。このコラボレーションで製品の価値は上がり、日本とASEANのFTA優遇関税を活用して関税0%で輸出できる。これは台湾企業にとって大きなメリットになるでしょう」