健康

2023.06.25 09:00

日々蓄積する小さなストレスは健康に影響大 対処に役立つ7つの人間関係

安井克至
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ストレスといえば、まず何を思い浮かべるだろうか。仕事や生活面での大きなストレス要因か、それとも生活の一部である日常的な煩わしさか。この春刊行された書籍『The Microstress Effect』(マイクロストレス・エフェクト)では著者のロブ・クロスとカレン・ディロンが、私生活や仕事の中で瞬間的に生じ、時間とともに蓄積される小さなストレスを「マイクロストレス」と名づけ、個人のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的な健康と幸福)はこれに大きく左右されると指摘している。ささやかなストレス要因が少しずつ積み重なって、健康や回復力に大きな影響を及ぼすというのだ。

クロスとディロンによると、マイクロストレス要因は「能力を消耗させるもの」「感情をすり減らすもの」「アイデンティティを揺らがせるもの」の3つに大別される。

本書では、役割と優先順位の不一致、予測不可能な権力者、不十分なコミュニケーション慣行、仕事量と責任の急激な増大、チーム内やリーダーシップに対する信頼不足、対決姿勢の強い会話、個人の価値観の対立など、影響力の強いマイクロストレス要因を十数個特定した。マイクロストレス要因は、1回発生しただけではウェルビーイングを脅かすものにはならないかもしれないが、時間の経過とともにその影響は大きくなる。

クロスとディロンが特定したマイクロストレス要因の多くは、燃え尽き症候群の原因として知られている次の6つの要因のうち、1つ以上と重複している。

1. 手に負えない仕事量(あまりにも多くの仕事を抱え、日々水中でもがきながら、いつ沈んでもおかしくない感覚がある)
2. 評価不足(肯定的なフィードバックがなく、感謝の言葉を聞くことが滅多にない)
3. リーダーや同僚からのサポートの欠如(職場への帰属意識がなく、仕事上の人間関係やチームに対する信頼が薄い)
4. 不公平感(えこひいき、恣意的な意思決定)
5. 価値観の断絶(仕事で大切だと思うことが職場の価値観と一致しない)
6. 自律性の欠如(自分の仕事に関するタスクをいつ、どのように実行するかの選択権がほとんどない)

クロスとディロンのアプローチは、マイクロストレスにうまく対処するための重要な経路として、人間関係と対人関係に着目している。これらの関係性は軽妙さ、ものの見方、ユーモア、共感、サポートなど、成長と回復につながる重要な経路を提供する。具体的には、以下の7つのカテゴリーで適切な人物を確保する必要があるとされる。
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編集=荻原藤緒

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