ビジネス

2023.06.23 17:00

40年「人とお金の関係」を探る識者が語る「お金は自身を映す鏡である」

幸いなことに、最近は時代が変わっていく兆しを感じています。考えてみてください。私たちが発明したお金というものは決して自然なものではありませんよね。動物も植物も昆虫も、みんなお金なしで、非常にうまく存在しています。無自覚にお金を扱い続けることによってダメージが大きくなることを自覚して、お金自体もより自然なものに近づけていく時代が来ているのではないかと思います。その方向に私たちの考え方や生活を変えていくには、長い時間がかかります。だからこそ、子どものころから無意識に身につけてしまった条件付けを脱するプロセスがより重要になってきていると思うのです。マネーワークは、そのための手段のひとつです。

人の意欲の源となるのは、その人が生きている間に本当にやりたいと思っていること、そして自分の内側の世界と外側の自然に触れていくことです。自分がほんとうに情熱を注ぎたいイニシアチブに人々が集中し始めると、お金の流れも自然なものになっていくと考えています。若い人たちは、そういう方向に社会を進めていきたいと考えているし、実際に進んでいるように、私の目には見えます。ですから、若い世代に希望をつないでいます。

これは人間の新しい進化の方向に向けた穏やかな革命だと思います。不必要な暴力によってもたらされるものではなく、理解と自己成長によってもたらされるジェントルな革命です。


PETER KOENIG ピーター・カーニック◎イギリス生まれ、スイス在住のコーチ、思想家。不動産ビジネスでキャリアを積み、ジュネーブ大学でMBAを取得。80年代にはコンサルティング企業のパートナーとして活躍し、お金と人の関係に関するリサーチを独自に開始。著書に『30 Lies About Money』(2023年12月、翔泳社より邦訳が出版予定)がある。

インタビュー、編集=ひらばやしふさこ、写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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