J&Tは6月16日、香港証券取引所に上場目論見書を提出し、リーが同社株の11.5%を所有していることが明かされた。フォーブスは、彼の持ち株と以前の株式の売却益から、リーの保有資産を13億ドルと推定している。
ブルームバーグによると、J&Tは最大10億ドルの株式売却を計画中で、上場は早ければ今年中にも実現する可能性があるという。2015年に設立されたJ&Tはこれまで、テマセクやテンセント、Boyu Capital(博裕資本)などの大手投資家から10回近い資金調達を行っている。
リーは以前、中国のスマートフォンメーカーOPPOに15年以上勤務し、インドネシア、マレーシア、日本、シンガポールなどの市場でグローバル展開を担当していた。彼はその頃、インドネシアにおける配送業者のスピードの遅さに不満を持っていたため、物流にビジネスチャンスを見出したという。
目論見書に引用されたフロスト&サリバンのデータによると、J&Tは現在、東南アジア最大の宅配便事業者で、小包の数量で22.5%の市場シェアを獲得している。同社の顧客にはラザダやトコペディア、Shopeeなどが含まれている。
しかし、東南アジアはJ&Tの最大の収益源ではない。同社は昨年73億ドルの売上高を記録したが、東南アジアはその32.8%を占め、中国は56.4%を占めていた。
香港のエバーブライト・セキュリティーズの証券ストラテジストのケニー・エンは、東南アジアでの今後の成長が限定的となる可能性があるため、投資家は中国でのJ&Tの動向を注視することになるだろうと述べている。
J&Tは、2021年に中国の物流大手ベストグループ(百世集団)を11億ドル(約1560億円)で買収し、今年5月には宅配大手S・F・ホールディングの物流会社Fengwang Expressを1億7000万ドルで買収した。これらの買収と、配達価格の割引戦略によりJ&Tは2022年に中国の小包市場で10.9%のシェアを獲得したとされている。同社の顧客には、アリババやピンドォドォ(拼多多)が含まれている。
しかし、収益性の高い東南アジアの事業とは異なり、同社の中国の物流事業は赤字で、昨年の営業損失は14億ドルだった。
「他の宅配業者と比べるとJ&Tはまだ急成長しており、それが強みと言える」とエンは述べている。「しかし、中国ではシェア拡大と引き換えに利益を犠牲にしている。今後は、値上げやオペレーションの効率化で利益を出せるかどうかがポイントになる」
(forbes.com 原文)