北米で開催される2026年ワールドカップは、このうち1つ目の対策はうまくいっているが、会場間の距離が大きいため、移動による汚染が多く発生することになる。ホイジンは、米国東海岸など、米国の一地域だけでもっとコンパクトなワールドカップを開催した方がよかったかもしれないという。
また「排出ガスに大きな影響を与えるのは、どれだけ多く遠方のファンを受け入れるかだ」とし、チケットの80%を地元の人に販売し、おそらくは転売防止策を充実させれば、排出ガスも大幅に削減できるだろうと指摘する。
ワールドカップ以外では、FIFAとUEFAはサッカーの気候への影響を減らすためにスケジュール面でもっと努力する必要があるとホイジンは述べ「ファンに公共交通機関を奨励したり、実際にファンが電車やバスなどの公共交通機関で行くことができるように実現するためにとられている施策はほぼゼロだ」と述べている。
Fossil Free Footballは最近、先日のUEFAチャンピオンズリーグ決勝がパリで開催され、ファンが飛行機ではなく電車で行くことができれば、移動にともなう排出量を劇的に削減できたことを示す記事を掲載した。また、欧州の序盤の試合を地域ごとのグループで構成し、事前に早めにスケジュールを発表することでも、排出量を削減することができる。
しかし、サッカーが二酸化炭素排出量を削減するためにできる最大のことは、大きな汚染を排出する人たちに、広告としてのプラットフォームを与えることをやめることだと、ホイジンはいう。
彼は、過去にタバコ会社がサッカーのスポンサーになるのを阻止するために行った取り組みを指摘している。1960年代から1970年代にかけて、オランダの伝説的なサッカー選手ヨハン・クライフがタバコの広告キャンペーンに登場し、その後、ベンチでタバコではなくロリポップをなめながら禁煙キャンペーンを行ったことがある。
最近では、プレミアリーグのクラブが2026/27シーズン以降、シャツの表面にギャンブル商品をスポンサーすることを禁止することを決定し、大英博物館がBP(ビーピー)との関係を解消することを決定した。
ホイジンは、人々がいかにして新しい製品と、深刻な気候変動対策を阻止しようとする企業とのつながりを理解し「(アーリング)ハーランドがEtihad(エティハド)航空のシャツを着て走り回らなければならないことが、いかに不公平なことか」を理解し始めるかどうかだと語っている。彼は「誰もが気候変動がどれほど悪いものかを本当に理解したときに、2020年代を振り返りその10年間を見て【略】その世代の伝説的な人々が、汚染製品の広告シャツを着て走り回っているのを本当に見たいのだろうか?」と問いかけている。
カタール2022がカーボンニュートラルであったとしても、スポンサーのカタール航空とQatar Energy(カタールエナジー)にプラットフォームを提供することに変わりはない。
本当にカーボンフットプリントを削減しようとするワールドカップは、スタジアムの建設や移動の削減を考えるだけでなく、大会のスポンサーとなるブランドについても考慮しなければならないだろう。
(forbes.com 原文)