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2023.07.02 12:30

「送料別」でも月商差なし? 消費者は無料好きを疑え

Getty Images

一部の消費者は受け取りを意識した購入の意思決定

目標は「再配達率12%の半減」


一方、政府は再配達の削減に向けて、コンビニ・ガソリンスタンド受け取りや宅配ボックスの普及などを取り組みとしてあげている。現在12%の再配達率を半減させることを目標とする。これこそ「無料」の功罪が大きく、再配達料金が設定されれば好転するだろうが、現状では消費者の意識改革の促しにとどまっている。
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また配達日指定ができないネットショップがまだまだ多い状況も問題だ。同調査で、配達希望日表示「あり」と「なし」を比較したケースでは次の通りだ。

A(配達希望日表示アリ)
└設定店舗数:5922
└平均月商:228万円
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B(配達希望日表示ナシ)
└設定店舗数:6785 
└平均月商:187万円

配達希望日が選択できるネットショップの平均月商は、希望できない場合の約1.2倍。さらに希望日だけでなく配達時間帯まで指定できるネットのショップでは、平均月商が約50万円高いという。一部の消費者は受け取りを意識して、購入の意思決定をしていると読み取れるだろう。高橋氏は「消費者、運送会社の双方にとって良い世界を実現するためには、配達希望日の設定は重要」とネットショップのこれからのあり方を示す。ECカート「makeshop」では、標準機能として配達希望日設定を備えているため、活用するかどうかはEC事業者の判断に委ねられる。

「送料無料」とは一体?


宅配業界の自主的な動きも見られる。宅配大手各社は運賃の値上げを実施。そのほか、ヤマト運輸は転送サービスを有料化した。引っ越しや住所の誤記載による転送対応が該当する。

転送サービスの有料化についてホームページでは、「イレギュラー対応として行っていた業務」「お届け先の変更は、新たな配送コストが発生する」として本来無料にできるサービスではない旨を主張した。こうした動きは今後拡がっていくだろう。

根本から「送料が無料」と誤解をしている消費者は少ないかもしれない。しかし「送料無料」の裏では、通常宅配、再配達、さらには「原材料の調達に関わる輸送」や「生産した商品を倉庫へ納入する輸送」など、到底無料とはいい難い工程を経て商品が運ばれている。それらに恩恵を感じて意識を向けていくタイミングが、今なのだろう。



田中なお◎物流ライター。物流会社で事務職歴14年を経て、2022年にライターとして独立。現場経験から得た情報を土台に、「物流業界の今」の情報を旺盛に発信。企業オウンドメディアや物流ニュースサイトなどで執筆。

文=田中なお 編集=石井節子

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