ニューヨーク消防署によれば、火災はマンハッタンの6階建て住宅ビルの1階、HQ E-Bike Repair(エイチキュー・イーバイク・リペア)という店で真夜中少し過ぎに発生したが、火災の原因はすぐには明らかにならなかった。
その後、ニューヨーク消防署は火災の原因が、建物の1階で機能不全を起こしたリチウムイオンバッテリーであったと断定した。
赤十字社は、火災の影響を受けた8世帯(大人23名、子ども2名)に避難用住宅を提供すると発表した。
市当局によれば、昨年、市内で電動自転車や電動スクーターに搭載されたリチウムイオン電池が原因で起きた火災は220回あり、前年より116回も増加したという。
ニューヨークタイムズによれば、リチウムイオン電池はニューヨーク市における火災による死因の第1位だ。20日の火災前までに、今年92件の火災で9人が死亡し、64人が負傷している。またニューヨークタイムズの別の記事では、4月には電動自転車が原因で「火災をともなう爆発」が起き、19歳の女性と7歳の弟が死亡した。また5月には、電動自転車のバッテリーが原因の火災で94歳の女性と彼女の息子が死亡したと、ニューヨークデイリーニュースが報じている。
最近、ニューヨーク市の当局者たちは、一般的に使用されている電動自転車や電動スクーターを動かすリチウムイオンバッテリーによる火災について懸念を表明している。これらのデバイスは、市内の配達員6万5000人以上にも使われている。ブロンクス選出のリッチー・トーレス議員(民主党)は、多くが「安全基準を満たさず、規制外の」リチウムイオンバッテリーで動いている電動自転車や電動スクーターの充電に際して市民に注意を促した。
ワシントン大学クリーンエネルギー研究所によれば、これらのバッテリーは過熱しやすく、自己着火する傾向がある。3月には、エリック・アダムス市長が火災防止専門家のタスクフォースを設立し、危険な状況や火災防止法の違反を特定するよう呼び掛けた。また、市は、安全基準を満たさない電動自転車や電動スクーターの販売またはリースを禁止し、使用済みのリチウムバッテリーのリフレッシュ(再生)も禁止している。
(forbes.com 原文)