そうしたなかで、インプレスが「動画配信ビジネス調査報告書2023」の調査結果を一部公開しています。
まず有料動画配信サービスの利用率について2016年から見てみると、3か月以内に有料動画配信サービスを利用したことがあると回答した人は31.7%と初めて3割を超えました。3か月より以前に有料動画配信サービスを利用したことがあるを含めると、38.6%と4割近くになります。
性別別に見てみると、男女とも20代、30代の利用率が高く、やはりテレビよりYouTubeなどの動画共有サービスで育った世代に浸透しているという印象です。
ふだんよく視聴する映像・動画のうちもっとも好きなものを問うと、トップは「リアルタイムのテレビ番組」で27.0%。続いて、「動画共有サービス」(19.3%)、「録画したテレビ番組」(18.7%)、「有料の動画配信サービス」(11.7%)となっています。1位と3位は年々比率が下がっている一方、2位と4位は上がっており、テレビ番組と動画共有・配信との差が縮まりつつあることがわかります。
性別・年代別に見ても、2位の「動画共有サービス」が男性の10代から30代、女性の10代、20代が高く、リアルタイムのテレビ番組をあまり見ていません。こうした世代がどんどん歳を重ねていっても傾向は変わらないはずなので、やはり「リアルタイムのテレビ番組」が滑落する日もそう遠くなさそうです。
動画配信サービスの認知度としては、1位は「Amazonプライム・ビデオ」で65.0%。続いて「Netflix」(60.0%)、「Hulu」(58.4%)、「TVer」(52.7%)となっており、見逃し配信に力を入れたTVerの存在感が増してきています。また、6位の「ABEMA/ABEMAプレミアム」はサッカー・ワールドカップを全試合無料配信したことで、大幅に認知度がアップ。やはりコンテンツ力が認知度アップにもつながるようです。
また、有料動画配信サービス利用者を対象に利用している動画配信サービスを問うたところ、「Amazonプライム・ビデオ」が72.6%とほかを圧倒。これはAmazonプライム・ビデオが、ふだんAmazonで買い物をする人が入会するであろうAmazonプライム会員であれば利用できるため、圧倒的な差がついていると思われます。続いて「Netflix」(21.7%)、「U-NEXT」(9.3%)となっています。
有料動画配信サービスを視聴するデバイスは、「テレビ」がトップの53.6%。「パソコン」(46.9%)や「スマートフォン」(44.4%)と続きますが、テレビが伸びているのに対して、ほかは減少傾向にあります。やはり大画面で見たかったり、家族と一緒に見たいという人が増えているのではないでしょうか。
このように動画コンテンツは、お金を払っても見たいという人が徐々に増えてきているようです。テレビ番組もリアルタイムで見るよりTVerなどの見逃し配信サービスを活用する人が多く、レコーダーで録画するという人も減ってきているのかもしれません。やはり、自分の趣味嗜好にあったコンテンツを自由な時間に見たいという思いから、スポーツ中継などテレビでのみ放送といったコンテンツ以外は、こうした動画配信サービス主体に移行していくのではないでしょうか。
出典:インプレス「動画配信ビジネス調査報告書2023」リリースより