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2023.06.23 06:15

子育て費用 世帯年収1000万円以上でも約6割が精神的負担

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2022年5月、​​米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスクは、「明らかなことを言うようだが、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」とツイッターに投稿し、話題を読んだ。

岸田政権は「異次元の少子化対策」を掲げ、児童手当を中心とする子育て世帯への経済的支援強化を柱として打ち出しているが、最近、巷では子どもを産み、育てることが厳しい現状を表す「子育て罰」という言葉が聞こえてくる。

そうした中、日本生命保険は3月、6歳以下の子供を持つ20代〜40代の男女8421名を対象に、子育てについての調査を実施。結果からは、子育てのお金、支援環境などについて、親たちの考えや置かれている状況が明らかになった。

まず、子育てにかかる費用について精神的な負担を感じているかを尋ねたところ、「負担を感じている」と回答した人の割合は全体で7割(70.3%)に。世帯年収1000万円以上の場合でも、約6割(57%)が「精神的な負担を感じている」と回答した。

続いて、子育て費用が不足しているかについては、「不足している」と答えた人が全体で8割を超え(84%)、世帯年収1000万円以上の場合でも約7割(71.7%)に達した。

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 久我 尚子上席研究員は、「高収入世帯でも負担感がある背景には、近年、教育費の負担が増していることがあげられます。特に都市部では中学受験人口が増え、低学年からの塾通いも珍しいものではなくなっています。また、職場でグローバル化やIT化に対峙する世代が親になることで、英会話やプログラミングをはじめさまざまな習い事に積極的な家庭も増えているのではないでしょうか」とコメント。

さらに物価高の影響も挙げ、もともと子育て期は住居や自動車などの大きな買い物をする時期とも重なるため、現在の子育て世帯では、多方面に渡って負担感が増していると解説した。

次に現在、就労している人に、職場にある「子育て支援制度」で知っている制度、利用したことがある制度を聞くと、代表的な制度として「育児休業」は70.3%、「短時間勤務」は50.5%の人が自分の職場にあることを知っているという結果に。しかし実際に両者を利用したと答えた人は、それぞれ40.5%、20.1%と、大きく割合が下がった。


「フレックスタイム」と「在宅勤務」については、男性(それぞれ18.9%、16.1%)の利用率が女性(同11.7%、8.4%)より高くなったものの、「育児休業」や「短時間勤務」等、勤務時間に関わる制度については、女性の利用率(それぞれ62%、37.3%)が男性(同22.5%、5.7%)を上回った。

また、回答者本人と配偶者がどちらも就労している人を対象に、子供が発熱などした場合、どのように対応することが最も多いかを質問すると、「自分が休む(付き添う)」と回答した割合は女性で88.1%、男性で15.7%に。現在の職場における「子育てへの理解」について、「理解がある」と回答した割合ついても、女性が80.5%で男性(68.6%)を上回った。

久我氏は、育児休業や短時間勤務などの制度利用や子どもの発熱時に対応する割合は、男性より女性で圧倒的に高く、家事・育児の負担が妻に偏っている様子が分かると指摘。「背景には、職場の子育てへの理解がある割合が、男性より女性で高い影響もありそうですが、男性でも約7割は理解があると回答していますので、夫婦の役割分担を見直す余地はあるのではないでしょうか」と述べた。

一方、在宅勤務やフレックス勤務など、子育てに関わらず幅広い雇用者層で利用できる制度については、男性の利用率が高くなっていることに触れ、「これらの制度は、仕事と子育ての両立を図る上で柔軟な就労環境を整備するためにも重要な制度と言えます。多様な層が制度を活用しながら働き方を変えていくことで、子育てや介護などさまざまな事情を抱えながら働く人への理解も進むのではないでしょうか」と見解を語った。


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Forbes JAPAN Web編集部

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