科学誌サイエンスに掲載された論文によると、実際にその「可能性はある」のかもしれない。この研究によって初めて、タウリンを多く摂取することによって老化を遅らせ得る可能性があることを含め、数々のメリットが得られる可能性が示された。
まず、確認しておかなければならないのは「タウリンとは何か」ということだ。タウリンは、私たちの体を構成する20種類のアミノ酸に含まれるものではない。私たちの体内では、少量のタウリンが生成されている。
生後しばらくは、体内で生成されるより多い量のタウリンが必要となる。それは母乳から摂取することで賄われており、タウリンは粉ミルクにも配合されている。また、私たちは摂取する食品からも、タウリンを取っている。多く含んでいるのは、肉類やエビ、貝類だ。
では、サイエンス誌に発表された論文で明らかにされたのは、どのようなことだろうか?
コロンビア大学、インドの国立免疫学研究所、英サンガー研究所の研究者らは、ヒトをはじめとする哺乳類の体内のタウリンの量は、年齢とともに明らかに減少すると述べている。減少するタウリンを補っても、それで老化のプロセスが逆行し始めるというわけではないが、少なくとも加齢とタウリンに関連性があることは、確認されたことになる。
研究チームは、マウスとサルで実験を実施。比較的多い量のタウリンを、毎日摂取させた。そして、その結果はかなり印象的なものだった(サプリメントにかなり懐疑的な筆者だが、かなり興味を引かれている)。
マウスの実験結果
・寿命が10~12%延びた・中年になってから摂取し始めた場合、寿命は18~25%延びた
・雌は骨密度が上昇し、骨粗しょう症が治った可能性がある
・オス、メスともに、タウリンを摂取していないマウスに比べ、筋力がアップした
・老化細胞(有害な炎症が起きていることを示すシグナルを発する以外の機能がほとんどない)の数が減少したとみられる