北米

2023.06.21 16:30

グーグルが「新聞業界を破壊した」USAトゥデイ発行元が提訴

安井克至
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USAトゥデイや米国内の200以上の地方新聞を発行するガネット(Gannett)が、グーグルと親会社のアルファベットが広告ビジネスを独占し、ニュース業界を破壊したと主張する訴訟を起こした。

6月20日に提出された訴状でガネットは、グーグルとアルファベットが、オンライン広告の売買ツールの違法な独占状態を維持していると非難した。同社は、この分野での競争の欠如が、メディアが広告に課すことのできる価格を下落させ、広告収入に大きく依存してきた報道機関が読者のために制作できるコンテンツの量を減少させたと主張している。

ガネットはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、「多額の損害賠償」を求めていることを明らかにした。

一方、グーグル広告の副社長のダン・テイラーは、フォーブスに宛てた声明の中で、ガネットの主張が「単純に間違っている」と述べている。

「パブリッシャーは、広告テクノロジーを使ってマネタイズを行う際に、多くの選択肢の中から選ぶことが可能で、グーグルのツールを使うことを選択したパブリッシャーは、収益の大部分を確保している」と、タイラーは述べている。彼はまた「グーグルのアドテクの料金には透明性があり、業界標準と一致している」と主張し、グーグルは「ジャーナリズムの世界最大の財政支援者の1つだ」と述べている。

新聞業界は、テクノロジーによって人々がニュースを消費する方法が変わっことで、広告収入と購読料の減少に直面している。ローカルニュースの崩壊対策に取り組む非営利団体「Rebuild Local News Coalition」のレポートによると、2004年以降に全米の報道関連の雇用者数は57%減少し、毎週平均2つの新聞社が閉鎖されている。

これにより、1800の地域がローカルニュースの情報源を失い、誤報の増加や政府の腐敗率の上昇、市民運動の停滞につながっていると、同団体は述べている。多くのメディア関係者は、グーグルとフェイスブックの破壊的な広告ビジネスが、この衰退の主要な原因だと非難している。

ガネットのマイク・リードCEOは、この訴訟の発表と同時に発表した社説で、米国人の86%がオンラインでニュースを読んでいることを指摘し、報道機関がその市場を獲得できなかったことの責任は、グーグルにあると主張した。

「オンラインへの移行は、パブリッシャー側に莫大な機会をもたらすはずだった」と彼は書いている。「デジタル広告は今や2000億ドル(約28兆円)規模のビジネスで、2009年から約8倍に増加している。しかし、ニュース出版社の広告収入は大幅に減少している。グーグルのやり方は、ローカルニュースの収益を減少させるだけでなく、ローカルニュースが最も必要とされる時期に、その規模を縮小させている」

frobes.com 原文

編集=上田裕資

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